第40話 何がクニだよ!ク◯ニしろオラァァァ!

俺の指示はこう。


・十代半ば程度の少年少女は無制限に受け入れる

・小さい子供のいる親子も無制限に受け入れる

・閉経前の成人の女は基本的に受け入れる

・成人の男は何かしらの技能があると証明できる者のみ

・年寄りはお断り


「そんな……!」


「ひ、酷い……」


「こんな条件……!」


神社コミュニティの連中の一部がなんか言ってるが、一切聞くつもりはない。


若い子供はこれからの労働力!


女は孕ませて人を増やす!


能力のない男や老人は死ね!


……なんか俺、おかしいこと言ってる?


俺の力で養うんだから、俺が養う奴を選ぶ権利あるじゃん。


自分の子供を見捨てている訳でもないしな。


「以上の条件に当てはまる者は、これからすぐにトレーラー前に来い!このコミュニティに居ても先はないぞ!」


大声で煽動すれば、栄養不足でヘロヘロになり判断力のなくなった人々など、簡単に動かせる……。


結局は、力と富だな。




タライを与えて、手と顔を石鹸で洗わせる。


髪はハンカチで三角巾を作りまとめさせ、最低限の清潔さを確保する。


ここにいる人間は、夏の汗と汚れ、着たままの服の汚れで最悪の匂いだ。


例え女子高生でも、一切可愛いと思えないレベルの汚れっぷり。


若かろうが老いてようが人間は人間。風呂入んなきゃ可愛い女の子も臭くなる。


なので、服も脱がせて、俺がちょこちょこ拾っておいたフリーサイズのタンクトップなどを着せる。


恥じらう人も多かったが、そこで詰まると面倒だから、強制的に着替えさせてもらった。


そして、清潔になった者に、まずは飲食物を与える。


握り飯と、玉ねぎとキャベツを煮込んだ卵入り味噌汁、そして何より肉!


牛串である!


なんか牛の塊肉が最近出せてな。


塊肉って言ってもアレだぞ?よく、アメリカの冷凍室に吊るされてるような、あのデカい肉の塊。骨付きのやつだ。


それを雑に解体して、串に刺して塩を振ってから焼いただけのものだが……。


「「「「わあああっ!!!!」」」」


神社コミュニティの避難民達は、泣きながらそれらを貪った……。


……そして、腹一杯食べた彼らに、俺はこう命じた。


「諸君らには、これから仕事をしてもらう!車両整備の技能を持つ者は俺の左手側に!それ以外の者は右側へ移動しろ!」


車両整備士は……、三人ってところか。


「透、奴らに指示をして、動かない車を全部直せ。資材は出しておいた」


「分かったよ、旦那!」


で、次は……。


「男はこちらで、弾薬を給弾ベルトやマガジンに詰める作業だ!エレクトラ、できるか?」


「私、覚エル、少シ、日本語、シタ!」


そして残りは。


「女子供は、こちらで保存食作りの作業に従事してもらう!無子、人々に指示はしなくて良いが、サボっている奴がいたら報告しろ」


「ははっ!御意に!」


「子供は荷運びだ!冬芽は……、人と話せないだろうから、使い魔を放って周辺警戒をしておいてくれ」


「は、はい」


こうして俺は、人々に指示を出し、報酬として食料を与えた……。




犬畜生ですら、餌をくれた人間には懐く。


よって、犬よりもまともな頭の作りをした人間達は、飯を食わせてくれる俺に服従した。


まあ、道理だな。


今作らせていた車も、保存食も、こいつらを食わせていくためのものだし。


アイテムIDで無限に出せる木材でプレハブを建てて、その中でタライに湯を張って、全身を洗うように指示。


服は、ドラッグストアから貰ってきたフリーサイズ下着を配布。


近所の裁縫店からミシンを持ってきて、裁縫経験がある女性に服を縫わせたりなどもした。


駅近くの土産物屋とかは意外と狙い目で、記念シャツや手拭いなど、役立つアイテムが回収できた。


今回スカウトできたのは、大人と子供を合わせて三十人ってくらい。


ズボンの用意が難点だったが……。


『キョート!キョートってアレでしょ?皆着物を着て芸者ガールがいるのよね?!』


という、エレクトラの言葉を聞いた俺が。


「せや!ズボンと言わず、和服を用意すりゃ楽やん!」


と思いつき、甚平や作務衣、浴衣などを回収して人々に着せた……。


車の方だが、手に入れたのは軽トラが二台、配送トラックが一台、バンが二台、それと乗用車が五台程度。それと、観光用の大型バスも一台手に入れた。


軽トラにルーフを作って付けて、例の製造装置を搭載し、免許を持つ青年二人に運転を任せる。


大型バスは、大型車両の免許を持つ中年に任せて、女子供を乗せて守ることとした。


乗用車には、鉄板を加工して作った装甲板を貼り付けて、銃を持たせた青年達を乗せた。有事の際に戦う役目を任せる。実際、こいつらは、神社コミュニティの調達部隊出身の為、ある程度の能力はあるはずだ。


残りの配送トラックとバンには、保存食や資材などを詰めて、やはり免許を持った人に任せた。


また、女の子の中から、若くて可愛くて、それなりに家事もできる子をピックアップし、俺のトレーラーハウスに乗せてお手伝いさんとすることに。


跡狗あくあ(あとくあくあ)と渋庭神楽(しぶにわかぐら)と名乗った二人の女の子。


あくあは、黒髪を長く伸ばした背の低い合法ロリで、神楽は胸の大きいギャル系。


二人は、「自分が何でもやるから代わりに身内を助けてくれ」というので、あくあの父親と神楽の母親を助けてやる。


本来なら、あくあの父親も、神楽の母親も、どちらも中年で特に技能を持たない存在。受け入れるつもりはなかったのだが……、あくあと神楽の精神的な軛になると思い、受け入れた。


あくあと神楽の二人には、トレーラーハウスの中で布団を敷いてそこで寝るようにさせ、普段の俺達の家事や掃除の代行をさせる。


さあ、移民集団ができたぞ。


実家に帰って国を作ろう……。

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