第19話 ひよこ下僕屈辱超ひどいなかよし

「あぅー……♡あー……♡」


やり過ぎてしまったかもしれんな。


夜から朝まで、一晩中楽しんだんだが、冬芽は与えられる快楽に耐え切れず、ちょっと壊れてしまった。


これが俗に言う、「何もしてないのに壊れた」というやつか……。


これはアレだな、俺の健康度のステータスが悪い。


赤ん坊より更に生命力に溢れて、鍛え込まれた青年の数十倍の心身の頑丈さと、中学生の数十倍の精力を持つ、そんな健康モンスターが俺だ。


そんな健康パワーを少し叩き込むと、普通の女子高生では壊れちゃうんだね。


かなしいね。


……まあ、しばらくほっとけば治るだろ。




昼頃。


どうにか意識を取り戻した冬芽が起きてきた。


「お兄さん、愛してます!」


そして、いきなり抱きついてきた。


「どうした?」


「私の身体を使ってくれて、嬉しくて……!お兄さんにとって、私は、価値がある道具なんですね!幸せです!」


ははあ、なるほどな。


確かに冬芽の身からすれば、魔導師の技術を提供していることを差し引いても、ここまで厚遇される意味が分からなくて不安だった……ってところなんだろうな。


それが今回、抱かれたから、少なくとも構ってもらえるうちは捨てられないだろうと安心した……ってところか。


[狂気]の影響だろう。


[発狂]であれば操作を受け付けなくなって拙いが、[狂気]ならば倫理観が失われる程度だから、むしろ得なんだよなこのゲーム。


狂い死にしない程度に狂おう!みたいなコンセプトよな。


まあほら、狂ってないとやってけないからね、こんな世界では。


俺はそんな冬芽を撫でてやり、シャワーを浴びさせて身体を清めさせる。


食事のメニューは、基本的に缶詰料理などだ。


今日は、焼き鳥の缶詰と卵を使った親子丼と、レトルトの味噌汁、二十日大根を使ったピクルス(浅漬け?)だな。


安物とは言え、米が無限に出せるのはデカい!


最近は、車のロフト部分に鉢植えを置いて、そこでちょっとした野菜なんかを育ててるぞ。


キッチンにはハーブの鉢植えなんかも置いてある。


「わああっ!美味しそう……!」


食事の時間になると、冬芽はいつも喜んでくれる。


日本の女子高生が「まともな食事が提供された」くらいのことでここまで喜ぶんだから、面白いよなあ。


好き嫌いとかあるか?と、この前聞いたが、その時は「生のカマドウマより美味しいなら何でもいいです」と闇色の瞳でそう言っていた。


困窮して虫とか食ったんだろうな。可哀想に。


「美味いか?」


「はいっ!美味しいです!」


キラキラの笑顔で、親子丼を頬張る冬芽。


可愛いね!




お腹いっぱい食事をした後は、お互いに仕事を始める。


冬芽は、魔導師としての訓練と研究。


俺は、普段はその辺を探索したり、寄ってくるゾンビを粉砕したりしているのだが、今日のところは弾薬作りだな。


薬莢にプライマーを詰めて、ガンパウダーを詰めて、弾頭を嵌める……。


こんなこともあろうかと、俺はあらかじめに猟銃の免許などを若い頃に習得しておき、弾薬のハンドロード用の機材を揃えておいたのだ。


それを使って、弾薬を作る……。


トレーラーハウスは極めて大きく、観光用バスより更に二回りくらいデカい有様なのだが、これを展開すると二階建ての頭が悪い邸宅になるんだよな。


アメリカで二億円くらいで売っていたので、それを買って一億かけて更に改造した、まさに道楽カーだ。


一階は、風呂トイレキッチンと寝室にリビングダイニングがあり、二階は作業場兼倉庫になっている。


車体下部などにも多くの空きスペースがあり、そこには車の予備パーツなどを詰め込んでいる。


エンジンも高級でハイパワーなものに換装しており、装甲を纏ったこのトレーラーで時速100kmくらい出せるようになっている。


ああ、車の展開というのは、ボタンを押すと屋根がモーターで巻き上げられてせり上がり、二階ができるんだよ。それと、車体の横側がせり出て、広いリビング空間を作るとかな。


で、屋上部分にはブローニングM2が取り付けられている、と。


外側の部分は、強化ガラスと軍用装甲板で覆われている。


もちろん言っておくが、道路交通法違反だ。


……自分でやっておいてなんだが、狂ってんなあ!


でもこうしてあらかじめ狂っておいたおかげで今助かっているんだから、やはり狂い得だろう。


世界が狂う前に自分が狂ってればセーフという斬新な理論だ。


先行狂気はやっぱりええのお。


……とは言え、銃弾も作り過ぎると余計な荷物になるからな。


無限の物資は、無限に運べるって訳じゃあない。


ある程度の弾薬を作成した後に、俺は弾薬箱に弾丸を詰め込んで仕舞い込んだ。


この次は、魔法の勉強だ。


魔法については、俺は、研究面は割り切って即応性がある呪文のみを覚えることとした。


今のところ覚えているのは、小さな灯りを出す「灯火」と、魔法の矢で相手を貫く「マジックミサイル」、それと傷を少しだけ治す「軽傷ヒーリング」のみだ。


とは言え、両手が塞がっている状態で灯りを出せる「灯火」、無手のままに小口径ハンドガン並みの破壊力のある遠隔攻撃ができる「マジックミサイル」、気休め程度だが怪我を治せる「軽傷ヒーリング」……。


どれも、かなり有用だった。


なので、ぶっ倒れる寸前まで魔法を使いまくる。


使ったら即寝て魔力を回復させ、また魔法を使う。


どうやら、健康度が係数になっており、高ければ高いほど睡眠時の回復力が高まるらしい。


なので俺は理論上は、一晩寝れば骨折も治るっぽい。イカれているな!


こんなことをしているうちに、一日は終わってゆく……。


夜は、アイテムIDガチャを回して……。


「おおっ!豚肉だ!!!豚バラブロック、皮付きの4kg塊!!!日本産じゃなさそうだが、まあ良いだろう!!!今日は豚角煮でいこう!!!」


それからメニューを決めて、料理を作る。


ああ、楽しいなあ。


世界が滅んでも、俺の人生は輝いている。

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