第2話【恐怖の目覚め】
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潰れる前に……
そう思っていたのに
秒で潰れてしまった
こうなるとしばらくは起きない
荒れている理由が
1つも分からないまま
放置して店を開くことにした
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お気に入りの JAZZ を流す
「 ( ˙³˙)フンフフゥーン♪」
つい口ずさんでしまうのもご愛嬌
キュッキュッ……
グラスを1つ1つ丁寧に磨き上げる
目の高さに持ち上げ
透き通ったグラス越しに店内を見渡す
「今日は静かだな……」
開店から6時間ほど経つが
8組のお客様が来店され楽しんで帰られ
それ以来パタリと客足が途絶えた
途中トイレに行き戻って来ると
また寝やがった……
そしてそのまま静かに眠ったままだ
時計を見ると am 0:20 を過ぎている……
おっと、
スマホを手に取った時
キイッ
扉の開く音
タイミングが悪い
「いらっしゃいませ……ぁ 木村様」
常連の木村様だ
珍しく今日は早い……
「こんばんは、
木村様はクラブで黒服をしている
0:00 閉店で いつもならば
閉店作業を終わらせて来店するから
1:00 近いんだが……
今日に限って……
「
カウンター席の真ん中に
突っ伏して眠る大女を横目に
遠慮がちに尋ねる木村様
( ゚д゚)ハッ!
しまった……
席にもご案内せず考えごとを……
「失礼しました 木村様
こちらでよろしいですか?
本日はテーブル席になさいますか?」
「……お邪魔でなければここで」
眠る大女に気を使っているのか
それとも私とこの大女との関係を
気にしているのか……
「邪魔だなんてとんでもないです 木村様」
邪魔なのはコイツのほう…(¬_¬ )ジロ
「この子は私の従兄妹なんですよ…
お酒は弱いのに飲んでしまったので
しばらくは起きないと思いますから」
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追加で準備したキャロットラペは
木村様も気に入ってくださっている
少し多めに小鉢に入れ木村様の前へ
『オン・ザ・ロック』を作り
コースターに乗せ小鉢の横に滑らせる
「どうぞ」
「いただきます」
木村様はまずウイスキーを1口含み
ゆっくりと喉を潤わせ
ラペを箸で摘み口へと運ぶ
相変わらず美しい仕草に
グラスを磨きながら ため息を漏らす
この違いはなんだ?
見目麗しい木村様の隣には
イビキこそかいてはいないが
大女が寝息をたてて眠っている……
かれこれ6時間だぞ?
いい加減 帰れやー!
( ゚д゚)ハッ!
でも今起きて寝起きの大女と木村様で
気まずい空気になるのは私も困る……
閉店まで寝てろ大女め!
そう思ったのも つかの間
モゾ……
大女に動きが……
「んん〜っ ふぅぅううううっん……」
大きく息をつく
(((((((( ;゚Д゚)))))))ヒィィィィ
今起きるんじゃねぇよボケぇええ!
|¬ω¬)チラ…
木村様は流石だ……
視線をグラスに向けたまま
静かに佇んでおられる
普通なら興味本位でチラチラ見ても
おかしくない状況なのに流石だぁああ
年下でこれほど佇まいが美しい男性を
私は他に知らない
こんな人がクラブの黒服……
もったいないもったいない…(* -人-)
きっと高級クラブなんだろうなぁ
私など手が出ないハイクラスの……
美人ママがいたりするんだろうな
美人は見慣れてるんだろうなぁ
この美貌だ…
チヤホヤされてたりするんだろうなぁ
羨ましい……(´-ω-`)
「んっ……ん〜〜〜〜っん!
あ〜よく寝たぁ!
……んあっ!ケツいったーい !!」
( ゚д゚)クワッ
起きた……
起きてしまった……
「木村様、申し訳ございません
すぐ追い出しますので……」
木村様は口角を上げると
そうですよね……
こんなバカデカいガサツ大女と
目が合うのは怖いでしょうよ
「
「あん? ……え、なんで
「ここは俺の店だ!(ボソッ)
お前 酔っ払って寝落ちしたんだよ
日付も変わってるぞ、もう帰れ」
キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ
「あらヤダ本当に
なんで私ここにいんの?」
(ꐦ ^-^)
キョロキョロすんなし!
いい加減にしろ……
「 帰れ 」
「……あれ?あれれ?」
ヤ・バ・イ !!
イケメン好きな
木村様に目をつけないはずがない
何としても
木村様を守らねばー!
「おい
(* ˙꒳˙ )○)`Д)・∵.ドカッ!!
「ぐはぁ……」
秒で KO
木村様の隣に着席
おわた……
私は殴られた弾みでしゃがみ込み
そのまま固まった
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〜
精神壊滅状態で
大好きなキャロットラペをツマミに
美味しいカクテルを飲んだ……はず
1口舐めたくらいは覚えてる
本当に美味しいの
でもいつも眠ってしまうのよね…
んで?
今日も眠ってスッキリしたわけだけど
はて……
私は何しにここへ?
そう確か新店舗の視察の帰り道
いつものように車内でも仕事して
電話で
信号で止まった車
窓の外に何気なく目をやると
「……っ!? 」
ボト……
スマホが手から滑り落ち座席でバウンド
「もしもし聞いてる?ちょっと
スマホの向こうの
もう私の耳には届かなかった……
どこで車を降りて
どうやって
記憶にない……
カウンターにたどり着き座ると
ホッとして涙が出てきた
「うわぁあああああああぁぁぁん!!
「……ほれ、水飲め」
「ヤダ!お酒ちょうだい!超強いやつ!」
「何言ってんだよ飲めないくせに……」
「ヾ(⌒(ノ 。> <)ノ ヤダヤダー!!
飲むの飲むの飲むったら飲むー!」
カウンターをバンバン叩き泣き喚く
「ガキか…いい年こいて……」
あ、
そうだ……
お酒の力も借りて色々消去して
スッキリしようと思ったんだ……
確かによく寝てスッキリはした
でも目が覚めて
家か会社かと思ったら
まさかの
ちょっとビックリしたわけよ
記憶飛んでる〜♪
んで
キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ
したわけよ……
そしたらさ……
隣にさ……
わざとらし〜く向こうへ→→→
顔を逸らしている男性がいるわけよ
気になるよね?
気になりますよね?
てなわけで
空いた座席をヒョイと越え
男性のお隣へ……
㌧㌧(。´・ω・)ノ゙‹‹( *)
シーン?(* ˙-˙ )… ( *)
㌧㌧(。´・ω・)ノ゙‹‹( *)
ムゥ?(。·ˇ_ˇ·。)… ( *)
「あのぉ?」
トントンしても無視するもんだから
声をかけたわけ……そうしたら
「 ……(。´-д-)ハァ〜」
男性は露骨な ため息をついてから
ゆっくりとこちらを向こうとして……
そこで私はあることに気が付いた
ハッ!? ((((;゚Д゚)))))))!!!
「待ったァァァァァァ!」
その男性がコチラを振り返る前に
両手で頭をホールド!
再び向こうへ ギリリ…と方向転換させ
私はカウンター席の
反対端の席へ瞬間移動!
三≡ ˙꒳˙ )ビューン!!
「けけけけけ
お酒ちょうだい!」
カウンターの向こうにしゃがむ
やばいヤバイヤバイやばい
カタカタカタ(((;゚;Д;゚;)))カタカタカタ
「は? ……いや、帰れよお前
なに気持ち悪い行動してるんだ(ボソッ)」
立ち上がり顔を近付けた
ボソリと呟く
「るっさい!サッサと酒よこしな(ボソッ)」
その胸ぐらを掴みグラグラと揺する
「ゲホッ……わ、分かった
分かったから離せ」
そう言って出されたお酒に口をつけ
速攻で自我を手放す……
予定だった……
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