第2話【恐怖の目覚め】

 .。:.☆。_________________________。☆.:。.




 潰れる前に……

 そう思っていたのに

 秒で潰れてしまった従兄妹いとこケイ

 こうなるとしばらくは起きない


 荒れている理由が

 1つも分からないまま

 放置して店を開くことにした




 .。:.☆。──── ☆ ────。☆.:。.




 お気に入りの JAZZ を流す



「 ( ˙³˙)フンフフゥーン♪」


 つい口ずさんでしまうのもご愛嬌



 キュッキュッ……



 グラスを1つ1つ丁寧に磨き上げる


 目の高さに持ち上げ

 透き通ったグラス越しに店内を見渡す



「今日は静かだな……」


 開店から6時間ほど経つが

 8組のお客様が来店され楽しんで帰られ

 それ以来パタリと客足が途絶えた


 ケイは疲れているのか

 途中トイレに行き戻って来ると

 また寝やがった……

 そしてそのまま静かに眠ったままだ


 時計を見ると am 0:20 を過ぎている……

 おっと、山善ヤマゼンさんに連絡しておかねば



 スマホを手に取った時



 キイッ



 扉の開く音

 タイミングが悪い



「いらっしゃいませ……ぁ 木村様」


 常連の木村様だ

 珍しく今日は早い……


 ケイがいるこんな日に限って……



「こんばんは、圭吾ケイゴさん」


 木村様はで黒服をしている

 0:00 閉店で いつもならば

 閉店作業を終わらせて来店するから

 1:00 近いんだが……

 今日に限って……



圭吾ケイゴさん? ここ……いいですか?」


 カウンター席の真ん中に

 突っ伏して眠る大女を横目に

 遠慮がちに尋ねる木村様



( ゚д゚)ハッ!

 しまった……

 席にもご案内せず考えごとを……



「失礼しました 木村様

 こちらでよろしいですか?

 本日はテーブル席になさいますか?」


「……お邪魔でなければここで」



 眠る大女に気を使っているのか

 それとも私とこの大女との関係を

 気にしているのか……



「邪魔だなんてとんでもないです 木村様」



 邪魔なのはコイツのほう…(¬_¬ )ジロ



「この子は私の従兄妹なんですよ…

 お酒は弱いのに飲んでしまったので

 しばらくは起きないと思いますから」



 ケイから2つ空け座っていただいた




 .。:.☆。──── ☆ ────。☆.:。.




 追加で準備したキャロットラペは

 木村様も気に入ってくださっている


 少し多めに小鉢に入れ木村様の前へ


『オン・ザ・ロック』を作り

 コースターに乗せ小鉢の横に滑らせる



「どうぞ」


「いただきます」


 木村様はまずウイスキーを1口含み

 ゆっくりと喉を潤わせ

 ラペを箸で摘み口へと運ぶ

 相変わらず美しい仕草に

 グラスを磨きながら ため息を漏らす


 この違いはなんだ?

 見目麗しい木村様の隣には

 イビキこそかいてはいないが

 大女が寝息をたてて眠っている……



 かれこれ6時間だぞ?

 いい加減 帰れやー!



( ゚д゚)ハッ!

 でも今起きて寝起きの大女と木村様で

 気まずい空気になるのは私も困る……



 閉店まで寝てろ大女め!



 そう思ったのも つかの間



 モゾ……



 大女に動きが……



「んん〜っ ふぅぅううううっん……」



 大きく息をつく



(((((((( ;゚Д゚)))))))ヒィィィィ

 今起きるんじゃねぇよボケぇええ!



 |¬ω¬)チラ…



 木村様は流石だ……

 視線をグラスに向けたまま

 静かに佇んでおられる


 普通なら興味本位でチラチラ見ても

 おかしくない状況なのに流石だぁああ

 年下でこれほど佇まいが美しい男性を

 私は他に知らない


 こんな人がの黒服……


 もったいないもったいない…(* -人-)


 きっと高級クラブなんだろうなぁ

 私など手が出ないハイクラスの……


 美人ママがいたりするんだろうな

 美人は見慣れてるんだろうなぁ

 この美貌だ…

 チヤホヤされてたりするんだろうなぁ


 羨ましい……(´-ω-`)



「んっ……ん〜〜〜〜っん!

 あ〜よく寝たぁ!

 ……んあっ!ケツいったーい !!」



( ゚д゚)クワッ

 起きた……

 起きてしまった……



「木村様、申し訳ございません

 すぐ追い出しますので……」



 木村様は口角を上げると

 ケイの方を見ないように顔を背けた


 そうですよね……

 こんなバカデカいガサツ大女と

 目が合うのは怖いでしょうよ



ケイ……今すぐ帰れ (ボソッ)」


「あん? ……え、なんで

 ケイちゃんがウチにいんの?」


「ここは俺の店だ!(ボソッ)

 お前 酔っ払って寝落ちしたんだよ

 日付も変わってるぞ、もう帰れ」



 キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ



「あらヤダ本当にケイちゃんの店だわ

 なんで私ここにいんの?」



(ꐦ ^-^)

 キョロキョロすんなし!

 いい加減にしろ……




「……あれ?あれれ?」



 ケイが木村様に気がついた



 ヤ・バ・イ !!



 イケメン好きなケイ

 木村様に目をつけないはずがない


 何としても

 木村様を守らねばー!



「おいケイ!」



(* ˙꒳˙ )○)`Д)・∵.ドカッ!!



「ぐはぁ……」



 秒で KO

 ケイは2つ空いた席をヒョイと越え

 木村様の隣に着席



 おわた……



 私は殴られた弾みでしゃがみ込み

 そのまま固まった




 .。:.☆。──── ☆ ────。☆.:。.




 〜ケイ side〜


 精神壊滅状態でケイちゃんの店を訪れた私

 大好きなキャロットラペをツマミに

 美味しいカクテルを飲んだ……はず


 1口舐めたくらいは覚えてる

 ケイちゃんの作るラペもお酒も

 本当に美味しいの


 でもいつも眠ってしまうのよね…



 んで?



 今日も眠ってスッキリしたわけだけど



 はて……



 私は何しにここへ?



 そう確か新店舗の視察の帰り道

 いつものように車内でも仕事して


 電話で 山善ヤマゼン 葉子ハコと打合せ中

 信号で止まった車


 葉子ハコの報告を聞きながら

 窓の外に何気なく目をやると



「……っ!? 」



 ボト……



 スマホが手から滑り落ち座席でバウンド



「もしもし聞いてる?ちょっとケイ?」


 スマホの向こうの 葉子ハコの声は

 もう私の耳には届かなかった……



 どこで車を降りて

 どうやってケイちゃんの店まで来たのか

 記憶にない……



 カウンターにたどり着き座ると

 ホッとして涙が出てきた



「うわぁあああああああぁぁぁん!!

 ケイちゃーん。゚。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。°. 」


「……ほれ、水飲め」


「ヤダ!お酒ちょうだい!超強いやつ!」


「何言ってんだよ飲めないくせに……」


「ヾ(⌒(ノ 。> <)ノ ヤダヤダー!!

 飲むの飲むの飲むったら飲むー!」


 カウンターをバンバン叩き泣き喚く



「ガキか…いい年こいて……」


 あ、圭吾ケイゴの野郎 ひと言余計なんだよ!



 そうだ……

 ケイちゃんに聞いて欲しくて

 お酒の力も借りて色々消去して

 スッキリしようと思ったんだ……


 確かによく寝てスッキリはした



 でも目が覚めて

 家か会社かと思ったら

 まさかのケイちゃんの店で

 ちょっとビックリしたわけよ



 記憶飛んでる〜♪



 んで



 キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ

 したわけよ……



 そしたらさ……



 隣にさ……



 わざとらし〜く向こうへ→→→

 顔を逸らしている男性がいるわけよ



 気になるよね?



 気になりますよね?



 てなわけで



 空いた座席をヒョイと越え

 男性のお隣へ……



 ㌧㌧(。´・ω・)ノ゙‹‹(  *)


 シーン?(*  ˙-˙  )… (  *)


 ㌧㌧(。´・ω・)ノ゙‹‹(  *)


 ムゥ?(。·ˇ_ˇ·。)… (  *)



「あのぉ?」


 トントンしても無視するもんだから

 声をかけたわけ……そうしたら



「 ……(。´-д-)ハァ〜」



 男性は露骨な ため息をついてから

 ゆっくりとこちらを向こうとして……



 そこで私はに気が付いた



 ハッ!? ((((;゚Д゚)))))))!!!



「待ったァァァァァァ!」



 その男性がコチラを振り返る前に

 両手で頭をホールド!

 再び向こうへ ギリリ…と方向転換させ


 私はカウンター席の

 反対端の席へ瞬間移動!



 三≡ ˙꒳˙ )ビューン!!



「けけけけけケイちゃん!

 お酒ちょうだい!」


 カウンターの向こうにしゃがむ

 ケイちゃんに叫ぶ



 やばいヤバイヤバイやばい

 カタカタカタ(((;゚;Д;゚;)))カタカタカタ



「は? ……いや、帰れよお前

 なに気持ち悪い行動してるんだ(ボソッ)」


 立ち上がり顔を近付けたケイちゃんが

 ボソリと呟く



「るっさい!サッサと酒よこしな(ボソッ)」


 その胸ぐらを掴みグラグラと揺する



「ゲホッ……わ、分かった

 分かったから離せ」


 そう言って出されたお酒に口をつけ

 速攻で自我を手放す……



 予定だった……






 .。:.☆。──── ☆ ────。☆.:。.



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る