選択肢4.「ありがとうございます旦那様! では早速男性の使用人を増やさなきゃ!」と、感謝して使用人の募集を掛ける。を、選んだ場合。


 わたしは・・・


 足早に部屋へと戻って行く旦那様の背中へ声を掛けた。


「ありがとうございます旦那様! では早速男性の使用人を増やさなきゃ!」

「は? 待て! なんでいきなりそうなるんだっ!?」


 と、旦那様が踵を返してわたしに詰め寄ります。


「え? だって、女性使用人達は着飾ってにこにこしていればいいのでしょう? でしたら、男性使用人を増やさなくては屋敷の管理に手が回りませんわ。旦那様は日頃頑張っている女性使用人達へ、私費で衣服や装飾品を用意なさって、休暇を与えるおつもりなのでしょう? 素晴らしいことですわ! ということで、早速侍女長に伝えて来ますね! きっと、皆が旦那様へ深く感謝することでしょう」

「な、なにを言ってる!」

「ではまず、侍女長と執事長に相談して。服飾品に掛ける予算やシフトの確認の後、男性使用人への求人を出しますね! 大丈夫です、全てわたしに任せてください!」

「ちょっ、待て!」


 旦那様がなにかを言っていますが、ことは急を要するのです。


 これだけ大きな屋敷だと、使用人の数は多い。そして、下働きのメインは女性の方が多い。それを、いつも尽くしてくれている彼女達へ、こんな素晴らしいご褒美を考えてくださるだなんて、旦那様は本当に素晴らしいお方だわ!


 こうして、侍女長と執事長に相談。すると、自分達だけでは予算が大きくなり過ぎるからとお義父様とお義母様へ相談するとのこと。


 これを旦那様に告げると、旦那様は沈んだ様子になりました。


 きっと、ご自分の力だけで女性達へ感謝の心を伝えたかったのでしょう。


 そして、お義母様が大賛成してくれて、とんとん拍子に事が進みました。


 あまりシフトに穴を空けたり、いきなり男性使用人を増やし、多くの知らない人間を屋敷に入れることは良くないと叱られたので、女性達への服飾品と休暇はボーナスという扱いで、小分けに数人ずつの交代でローテーションを組むことになりました。


 これを聞いた女性使用人達は皆感激して、旦那様へと感謝しました。


 我が家は、女性使用人達に人気の就職先として大盛況のようで、かなり評判が上がりました。


 旦那様は、ここまで見越していたのですね。本当に素晴らしいお方です♪


「・・・」

「どうされましたか? 旦那様」

「・・・なんでもない」


  「余計なことを 言って、また変に 暴走されては 敵わん」


 (あのときはほんの少し苛ついていただけだったのに……父上と母上を巻き込んで、こんな大事にするとは……)


「ハッ、わたし、旦那様がなにを考えているのかわかってしまいました!」

「待て! なにかしようとするなら、まずは俺に一番に相談しろ! 勝手に動くのは禁止だからなっ!?」

「勿論ですわ、旦那様♪」


――――――――――――


 またまた強い天然奥さん。でもこっちは多分小悪魔系。旦那は散財させられちゃいました。一応、これもハピエン。(*`艸´)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る