第15話 幕間 魔力が擬人化するようです

 キルシュと天夜叉は宿屋にてハーゲンから貰った写本【魔力が擬人化したらこんなんなん】を開いていた。




 私の研究結果による"魔力は記憶を有する"この説を多くの者に広める為、試行錯誤の結果をここに記す。


"人はモノや他に習う事を得意とする種族だ"


 諸君らに届く事を私は願う。


 とある精神世界に魔力達が集い会合する園があった。


戦士の魔力:「いやぁウチの主人さぁ。身体強化を学んだのはいいんだがな?この前なんて娼館でよぉ、心の中で『身体強化・股間』なんて唱えやがってよぉ。冗談なんだか本気なんだか、言霊に出して来んねぇとわっかんねぇんだよな!それに股間の強化なんて誰も使ってんの見た事ねぇしナニをどうすれってんだ」


魔術士の魔力1:「ご苦労様です。私の主人は治癒魔法を覚えたてではありますが勤勉な方でねぇ。人体の構造を熱心に本で学んでおられた。おかげでどこをどの程度治せばいいか私との連携もバッチリですよ!」


魔術士の魔力2:「ほう白魔法の使い手ですな。いや今はヒーラーと呼ぶんでしたか。ワシの主人は赤魔法士なんですが、いかんせんワシの事を理解してくださらん。部屋も広いし出口も広い、一気に大規模な魔術を使われると戻るのが大変でな。森の守人出身で地との親和性が高いのに火にこだわってるもんで外様の魔力も支配できておらなんだ」


魔術士の魔力1:「なんでも最近、火の魔法がやたらと流行ってるみたいでよく見かけますなぁ。それに戦士を主人に持つ方は闘気と呼ばれておるそうな。いかがか。戦士の魔力殿」


戦士の魔力:「そうさなぁ。ウチらは基本的に主人の側を離れん事が多い。身体を駆け巡ったり武器に纏わり付いたり。それに主人のモチベーションで左右される事も多い。同じ量でも興奮状態だと強くなったりとな。我らの運用が違いすぎるあまり分けて呼ばれるんだろう。さて情報共有はここら辺にしますかい」


 彼らは高性能のサポートをこなすがあくまで本質は己と言う事を忘れないよう願う。





「「…………」」


 天夜叉とキルシュは己の魔力に知らずとディスられてる事を想像してしまい絶句した。


「まぁどうなんだ?わかりやすいのか?」

「どうだろうな?」

「とりあえず明日からはダンジョンに潜ろうと思う。武技の調子も確かめたいしな」

「迷宮というやつか。楽しみだ」



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