(二)-5
「えー、何でまた。ケンカでもしちゃったとか~」
そう言うと、拓弥の冴えない顔をファインダーの中でアップにしながら、ストロボの一瞬の点灯を二回起こす。
その間拓弥も「そんなんじゃないです」とストロボほどではないが短く答える。
「あなたが何か言ったんじゃないの」
顔を横に向けながら、今度は目線を上にと指示を出しながら、二回シャッターを切る。
「俺じゃないですよ」
ファインダーの中の拓弥を顔のアップから全身が収まるようにレンズを回して、鴫野はさらに二回シャッターボタンを押す。
(続く)
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