第92話 朱雀さんと話して打ち上げは終わる

「わははは、良い宴会だな、ミキ、ヒカリ、ヤヤ、チョリよ」

「レグルス陛下もタカシくんを乗せて大活躍でしたねっ」

「いて下さって助かったですよっ」

「本当にかっこ良かったですよ」


 レグルス陛下がシャンパン片手にやってきて、アイドルに絡み出した。

 まあ、今回の功労者だからどこかに追い出す訳にもいかないか。


「レグルス陛下は地上に出れたんですね」

「ああ、悪魔達と竜は支配権が違うからな。【人化】の術をアダベルに教えて貰う前は外にでられなかったが、今ではいつでもどこでもいけるぞ」


 うむむ、【人化】とか厄介な術を教えたアダベルさんとは誰なのだろうか。

 今のレグルス陛下はゴツイ男性形態でりゅうとした赤いスーツを身にまとっているね。


 タカシくんたち『Dリンクス』は中央近くのテーブルに陣取った。

 隣は『オーバーザレインボー』さん、『ホワッツマイケル』も近くにいる。

 配信冒険者地方だね。

 日米の偉い感じの人がひっきりなしに挨拶しにきてるね。


 お料理のブースが開いたので、『サザンフルーツ』の三人とチョリさんと一緒に取りにいった。

 立食式だから、お皿に好きなだけ取って、陣地のテーブルで食べれば良いらしい。

 俺達は早めにソファー付きの席を確保したからラクチンだね。


 美味しそうなお寿司とかお刺身とかを取った。

 若い子はパスタとか、お肉とか取ってるね。


「おう、ヒデオ酒は?」

「あ、下さい」


 横柄なウエイトレスが居るなと思ったら赤坂さんだった。

 メイド服だなあ。

 ローラースニーカーは履いてないっぽい。


 一番絞りをグラスに注いでもらった。


「現場の方は良いんですか」

「おまえらのいる場所が、あたいらの現場だ、気を使うな」

「ありがとうございます」


 見れば、『チャーミーハニー』の石橋さんもウエィトレス姿でうろうろしているね。

 あの人も公安なのに多芸な人だなあ。


 テーブルに戻ってお料理を食べる。

 んーー、美味しいねえ。


「お寿司美味しいね」

「一流の職人さんが作ってるわね」

「芸能界の宴会は派手だからね、美味しいわよ」

「年末も期待できそうですね」


 そうかあ、確かに芸能界は宴会多そうだね。

 年末もみんなと祝えたらいいね。


「できればケインさん、ユカリさん、カスミさんと一緒にね」


 『サザンフルーツ』の三人とチョリさんが一斉に笑い出した。


「ヒデオ優しい~~」

「こういう所がヒデオさんの魅力よね」

「みんなで年末はパーティに出ましょうね」

「局のパーティに行こう、テレビ局」


 そ、そんなテレビ局だなんて、恐ろしい所に。

 でもそうか、この子達はテレビ局も仕事場にしてるんだよね。

 そう考えるとすごいや。


『『ウホウホ』』


 偉い偉いというように、ゴリ太郎ゴリ次郎が手を叩いた。


 パーティ会場の舞台では大きなモニターにマリエンライブの映像がエンドレスで流されて場を盛り上げている。

 窓の外を見るとだんだん暗くなってきているね。


 『オーバーザレインボー』の高田くんがお皿にやまもりスパゲティを盛って持って来て、友だちに呆れられていた。

 よく食べるなあ。


「ヒデオさん、お話をしませんか?」

「これはこれは朱雀さん」


 『Dリンクス』の『僧侶プリースト』朱雀さんがやってきた。

 彼女はレア聖典である【復活リライブ】持ちの『僧侶プリースト』さんだね。

 でも今回の話は陰陽師関係の話かな。


 俺が彼女に付いていくと、ゴリ太郎ゴリ次郎も付いて来た。


 窓際のテーブルで朱雀さんは俺に笑いかけた。


「陰陽師の血に連なる者として、前鬼後鬼を現代まで継承して頂いて、本当にありがとうございました」

「あ、いえいえ、その、なんとなく継承してたもんですから、そんな褒められる物でもないんですよ」

「ヒデオさんは解って無いかもしれませんが、前鬼後鬼とは役小角様が作られた由緒正しき護法でございます、護法の王と言ってもいいですね」

「そ、そんな凄いやつらなんですか、こいつら」

『ウホー!』

『ウホー!』


 ゴリ太郎とゴリ次郎も、うせやろあんた、という感じに声をだした。


「それほどの存在なんですよ、平安期には安倍晴明師によって『制吒迦童子せいたかどうじ』と『矜羯羅童子こんがらどうじ』に進化させられて調伏に退魔にと大活躍したと伝わっています」

「そ、そんな立派な名前が」

「どちらの童子も甲冑をつけ利剣と羂索を持ち、車輪に乗って空を飛んだそうですよ。それで喋れたそうです」

「しゃべれたの!」

『うほー!』

『うほうほー!』


 うせやろおまえという感じにゴリラたちは声を出したあ。


「どうですか、今度一緒に京都に行ってみませんか、ゴリラさん達がパワ-アップするかもしれませんよ」


 ゴリラ達が、甲冑を着て、剣を持って、空を飛んで、さらに喋るのか!!

 それは凄いなあ。

 特に喋れると良いなあ。

 今でも何か言ってるんだけど、いまいち解らないからなあ。


「来週、学校の書類の関係で一度京都に戻るんですよ、その時に本家にヒデオさんを紹介しますから、如何ですか?」

「いや、だけど、丸出家は勝手に陰陽師の組織を抜けたんでしょ、大丈夫かな」

「ああ、大丈夫大丈夫、明治の時期に、一度陰陽師の組織はつぶれてますので、今在るのは諦めの悪い人達がやってる残滓みたいなもんです。怒る権利とかは無いんです」

「あ、もう、組織が無いのかあ」


 だったら、行っても良いかな。

 ゴリラ達がパワーアップするかもだしね。

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