第91話 背広に着替えて打ち上げ会場へ急ぐ
「ヒデオさん、ネクタイ曲がってますよ」
「あ、ありがとう」
事務の佐々木さんがネクタイを直してくれた。
「じゃあ行ってきます」
「あそこのホテルですからね」
佐々木さんは駅前の高層ホテルを指さした。
了解です。
エレベーターに乗って一階まで下りて支社ビルを後にする。
高層ホテルまでは地下街を歩くかな。
地上を映画館の入ったビルまで歩き、アゼリア地下街に入る、地下街を歩いて、駅のコンコースを上がって渡って西口に。
地獄門のある商業施設の方とは別の方に曲がると高層ホテルの方に行ける。
「丸出英雄さまですね、こちらにどうぞ」
高橋社長さんの名刺を渡すと話は付いていたようで、ホテルマンの人が先導してエレベーターに乗せてくれた。
チン。
最上階あたりにゴリラ達と一緒に通された。
まだ、参加者は集まっていないみたいだね。
「ヒデオ、こっちこっち」
「わあ、ヒデオさんの背広姿、格好いいね」
「なかなか似合うじゃん」
会場のソファーで、『サザンフルーツ』の三人とチョリさんが座っていて、俺を呼んでくれた。
おお、知っている人がいると助かるね。
ネネちゃんが詰めてくれたので俺もソファーに座り込んだ、なかなか座り心地が良いね。
ここから見える川崎の街は初めての角度で、斬新だね。
空がだんだん暗くなっってもうすぐ夕暮れだなあ。
「我々が一番乗りですか」
「まあ、みんな準備とかあるからね」
「あ、社長来た」
エレベーターから、高橋社長と、マリアさんの事務所の外人の偉い人が出て来た。
みな、立ち上がって迎え入れる。
「やあやあ、今日は頑張ったね、『サザンフルーツ』も『チョリズ』も良い出来だったよ」
外人の品の良いマダムがペラペラと何か言った。
チョリさんが、オーサンキューとか言ってた。
なんだろうか。
「全米ツアーにも来て欲しいわ、ですってよ」
「全米かあ」
「ヒデオさんも護衛で来てっ」
「えー」
外国とか怖いよ、俺は。
お偉いさんたちは、ちょっと離れたテーブルでシャンパンとか飲み始めたね。
こっちにもウエイターさんが来て、アイドルがソフトドリンクとか頼んでいた。
「ヒデオさまは何になさいますか?」
「んー、キリンビールかな」
「一番搾りでよろしゅうございますか」
「うん、それでいいよ」
「あ、私もビールがいいなあ」
「駄目よ、ヒカリ、未成年でしょっ」
「ぐぬぬ」
お酒は大人になってからだね。
ヒカリちゃん。
「もっと強いお酒じゃなくていいの?」
「最初から強いのはね、最初はビールかシャンパンなのよ」
シャンパンは飲み付けないから飲んだ気にならないしね。
飲み物が来たので、皆で乾杯をする。
ああ、なんだか大仕事をした感じだね。
俺自体は大した事はしてないのだけれども。
「明日から早く狩りをして、
「そうですよそうですよ」
「すぐには無理じゃないかなあ」
なんかのスキルが無いと連れ歩けないと思うからね。
しかし、モグは人気だなあ。
エレベーターが開いて、本日の主賓である、みのりんさんと『Dリンクス』のみなさんが現れた。
お偉いさんたちが駆けよって挨拶しているね。
俺達も立ち上がって挨拶をする。
こんにちわこんにちわ。
間近で見るチアキちゃんとくつしたくんは可愛いね。
バウバウと挨拶されたよ。
マリアさんも『ホワッツマイケル』の人達と一緒にエレベーターから降りてきて、こちらも挨拶であるよ。
お、続々と配信冒険者パーティがやってくるな。
『オーバーザレインボー』の人達がやってきた。
「霧積くん、ご無沙汰」
「ヒデオさん、良いライブでしたね」
「ぎゃー、ヒデオ」
「ぎゃー、ヒデオ」
「姫川ちゃん、高木ちゃん」
「なんでキスミーと知り合いなんだよー」
「前に知り合ったんだよ」
「というか、俺はおまえらがヒデオさんと知り合いなのが解せないのだが」
「にゃろー、ヒデオには、十六階のムカデ部屋をゴリラに手伝ってもらう予定なんだよっ」
「そうだそうだっ」
「あはは、手伝ってあげるよ、あそこは大変だからね」
「ヒデオー!」
「愛してんぞー!!」
なんだか凄くゴツイヘラクレスカブトムシ装備のお姉さんが寄って来た。
凄いなあ。
「竹宮センセ!」
「センセー!」
「二人とも、あまり校外の人に迷惑かけないのよ」
「先生なんですか」
「はい、ヒデオさん、臨海第三高校の英語教師で『
「
「ええ、『Dリンクス』の子たちが甲虫階でフルプレートセットを揃えて来てくれて、僧侶は重装備が出来るものですから」
「堅いから、十階ぐらいの敵だと、攻撃が全く通らないんだよっ」
『Dリンクス』さんは学校でも色々と奉仕しているんだなあ。
良い事だね。
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