第82話 『Dリンクス』さんと打ち合わせをする
チアキちゃんがゴリ太郎に取り付いてワシワシと登り始めた。
ゴリ太郎は困った顔をしてるが、じっとしていた。
「こいつは凄いね」
のっぽのお姉さんがそうつぶやいた。
糸目で強そうな美人さんだね。
『Dリンクス』関係者かな。
「ヒデオさん、ゴリラくん達は意のままに動かせるんですか」
「そうだよ、なんか言葉で一応命令はするけど、心の底でなんか繋がっている感じで思った通り動くよ」
「ステージの隅に立って貰って良いですか」
「狙撃避けか、丸出さん、ゴリちゃん達は銃で撃たれても大丈夫かい?」
「銃……、で撃たれた事が無いからねえ」
お爺ちゃんは大平洋戦争にゴリラ達を連れていったらしいけど、特に銃創は無いけどなあ。
銃で撃たれても平気なのか、それとも治るのか、どっちなんだろうねえ。
「ゴリちゃんたちは凄いよ、どんな魔物の攻撃も通じないの」
「すごい力持ちで、九階でトレインを二匹で全滅させてくれたよ」
ミキちゃんとヒカリちゃんが前のめりでゴリラ達の有効性をタカシ君に説いているね。
「アイドルが狙撃される可能性があるんだ、良かったら射線を遮る場所にゴリちゃんたちを立たせてくんないかな」
「ああ、ロシア人ですな、そういう事なら」
みのりんさんとマリアさんがロシア人に撃たれたら大変だものね。
特にマリアさんは世界の歌姫だから国際問題になってしまうね。
ゴリ達よ、体を張って護衛するんだ。
『『ウホウホ』』
了解だヒデオという感じにゴリラ達は返事をした。
「あはは、高い高い」
だが、その渋い雰囲気も、チアキちゃんがゴリ太郎の天辺に登頂成功したので台無しであった。
「
落っこちてもムカデ鞭があるから安心なのかもねえ。
「それでは、鏑木さん、おねがいします。『サザンフルーツ』さん、ヒデオさん、また後で」
「「「はあいっ!」」」
「ライブを成功させるために、お互いがんばりましょう、タカシさん」
どうものっぽの鏑木さんは『Dリンクス』関係者ではないようだ。
赤坂さんと話し込んでいるから『チャーミーハニー』の方か。
あとなんだかクワガタみたいな凄いフルプレートメイルで固めたお嬢ちゃんがいて、あの人は『Dリンクス』らしい。
「チアキ、降りてこい、楽屋へ行こう」
「解った、みのりねえちゃんとマリアねえちゃんに挨拶だね。鏡子、受け止めて!」
「ばっちこいっ」
チアキちゃんがゴリ太郎の上からポーンと跳び降りた。
着地点には鏡子さんがいて、しっかりと受けとめて二人で笑い合った。
『Dリンクス』は、なかなかアットホームで良い感じのパーティだね。
「ギラファ装備の子は、マリちゃん画伯だね、『Dリンクス』のイラストスタッフだって」
「おお、そういうスタッフも有りなのか」
「『
ああ、物を作ったり絵を描いたりする生産系の
あれも楽しそうだから
『Dリンクス』さんと知り合って興奮したけど、まずは目前のライブだよね。
レイドとかは後々、今は全力で警備しないと。
山下さんに『Dリンクス』さんのリクエストを伝えて、『チャーミーハニー』さんと相談してゴリラ達の立ち位置を決める。
ちなみに、鏑木さんは『チャーミーハニー』の人でした。
とりあえず、ゴリラの感じがつかめないので、大きなシーツを借りて、二匹のゴリラに被せた。
「あー、こんなに大きさが違うのかあ、あと西洋のオバケみたいだなあ」
「墓場階に、こういうの居るよね」
赤坂さんと鏑木さんがゴリラを視認して、立ち位置を決めてくれた。
スタッフさんが養生テープでバミッってくれた。
立ち位置を決めるテープを床に貼るのを、バミるというらしい、業界ごとに色々と用語があるね。
西洋のオバケみたいになったゴリラ達がバミテープに会わせて立った。
ついでに『サザンフルーツ』の楽曲に会わせて踊っていた。
「うわ、ゴリちゃん達、上手い!!」
「ああ、惜しいなあ、もっと早くに知っておけばステージで使えたのになあ」
舞台監督さんがゴリ達を見て悔しがっていた。
「これってさ、ぬいぐるみの中に入れたら、ゴリラさんたち、可視化できるんじゃない?」
「それだ! 『南国フルールパラダイス』の曲にも合いそうだね」
「ヒデオー、新作MVにゴリちゃんたち貸してよー」
「まあ、良いけど-」
秘密の護法童子なのに、良いのだろうか。
あと、やっぱり京都に行って陰陽師の偉い人に挨拶しにいかないと駄目だろうか。
あんまり偉い人は苦手なんだよなあ。
うーん、悩ましい事だ。
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