第74話 腹ぺこドラゴンにやってきたぞ

 お高いステーキ&ハンバーグのお店『腹ぺこドラゴン』にやってきた。

 まあ、何を頼んでも五千円オーバーのセットばっかりで凄いね。

 というかあんまりアイドル御用達のお店っぽくは無いよなあ。

 アメリカンにがっつり肉を食べるお店な感じだ。


 『サザンフルーツ』の三人と、チョリさん、あと俺でテーブルに付いてメニューを見て、俺がお値段に驚愕している所だ。

 というか、まあ、呑み屋に入るとこれくらいにはなったりするけど、『腹ぺこドラゴン』はここが出発点だ、ビールとか頼むとメリメリメリと万札突破しそうである。


「そんな世界の終わりみたいな顔をしないのよ」

「あ、いえいえ」


 チョリさんにはお見通しのようだ。


「会社のお金で飲み食い出来るんだから、気楽にしなさいよ、ヒデオ」

「そうですね」


 というか、あんまりご飯を会社とかのお金で食べる事に慣れて無いんだよねえ。

 これまで会社組織にあまり居なかったから、良くて割り勘の居酒屋忘年会ぐらいだよ。


 がっつりお肉のお店に来たけど、アイドルさん達は小さめのハンバーグとステーキセットだね。


「なによ、良いお肉をちょっと食べて、あとはサラダバーをたんまり食べるのよ」


 なるほどねえ。


「じゃあ、俺もそれで、あとビール下さい」

「ヒデオはがっつり凄いステーキ食べても良いのよ」

「おじさんは大きいお肉を食べると胸焼けがするのでねえ。若い頃はバクバク食べれたけどね」


 最近は、お刺身とか、煮物とか、わりと体に優しい物ばっかりよね。


 サラダバーのコーナーに行って、お皿にサラダを取る。

 ここで欲張って、ポテトサラダとか、豆類とか、腹に溜まるサラダを取ってはならない。

 あと、フルーツとかゼリーとかの甘いのは食後だ。

 ほどほどに葉物を中心にしてサラダを盛り付け、フレンチドレッシングを掛けて、テーブルに持っていく。

 スープは飲み放題ではなくて、コーンスープがセットについている。

 サラダを取ってテーブルに戻ると、頼んでいたビールの中ジョッキが来ていた。

 ありがたい。

 というか、ビールのつまみにポテトサラダ持って来たら良かったかな。


「しかし、さすがはマリアさんだけど、みのりんも凄いわよね」

「本当に格が違うわよねえ、後輩ながら凄いわ」

「チョリさんとみのりんは高校も一緒なんですよね」

「そうよー、毎朝みたいに会うわよ」


 普通の高校で、クラスにアイドルがいる生活って想像できないなあ。


「『Dリンクス』は、高校生のタカシ君が中心となってメンバーが揃ったパーティーだからね」

「同じ学校に有名パーティーがあると良いですね」

「そうね、あの子はどこまで行くのかしらね。私たちも追いかけないと」

「そうですね、頑張りましょう」


 注目度の大きい、マリア・カマチョさんと、新進気鋭のみのりんさんがデビューライブをやると言うことで結構な評判になっているようなんだよね。

 そのライブの前座に出ると言うことは、『サザンフルーツ』にしても、チョリさんにしても知名度を上げるチャンスなんだな。


 ユカリちゃんや、ケインさん、カスミちゃん達も人気が出ると良いね。

 俺との狩り動画がそんなに力になるとは思わないけど、ムカデ部屋での運搬とか、役に立つ事は結構ありそうだな。


「ライブが終わったら狩りに行こうよ」

「そうね、ヒデオさんを『魔獣使いモンスターテイマー』にしないとならないし」

「『魔獣使いモンスターテイマー』になれば『モグ』ちゃんを迷宮の外に出せるんですよね」

「そういうスキルを取りやすくなるっぽいね」

「外に出せるようになったら、MVとかCMに使いましょうよ。人気でるわよ、『モグ』、可愛いからね」

「それは良いですねえ。モグさんたちを沢山テイムして踊らせましょうよ」


 いや、ネームドだから、そんなには居ないと思うよ。


「ああ、ゴリちゃん達が見えればなあ。踊って貰って目立つのに」

「サーモカメラなら映りますよ」

「「「「ほんと!!」」」」


 アイドル達は顔を付け合わせるようにして相談を始めた。


「MVにサーモカメラで踊るゴリラって良いね」

「『南国フルーツパラダイス』のMVを取り直しましょう。【サチココバヤシ】もあるし」

「良いわね、社長に相談してみましょう」


 なんだか、大事になりそうだなあ。


「というか、サーモグラフィーのメガネならゴリちゃん達、ばれるの? 危なく無い?」

「あ、護衛としたらサーモに映るは伏せといた方が良いかな」

「とりあえず、判断は社長にしてもらいましょう。ゴリちゃん達とMVは撮りたいわよ」


 ゴリラ達は人気者だなあ。

 二匹とも話を聞いて嬉しそうでるよ。


 焼きたての本格ミニハンバーグと黒毛和牛のミニステーキのディナーが運ばれて来た。

 鉄板の上でジュージューいっているな。


 では、頂いちゃおうかな。


「いただきます」


 ぱくり。

 んー、良いお肉だね。

 柔らかくて美味しい。

 ビールが進んじゃうなあ。

 あははは。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る