第70話 マリア&みのりんのリハーサルが始まる
カメラ小僧を事務所に運んで行った。
国家権力である『チャーミーハニー』さんがとっちめてくれる事であろう。
一応『
二匹のゴリラが見守っているのだから、凄腕『
さて、『サザンフルーツ』の三人と持ち場に戻る。
おじさんの持ち場は、まあ、ステージ近くの曖昧な場所だね。
ザワッと現場がどよめいて、誰か入って来たのが解った。
おお、綺麗な外人さんと、高校生ぐらいの可愛い子だった。
後ろにはなんだか風格があるオールバックで皮ツナギのお姉さんが続く。
「わ、『マリア&みのり』だわ」
「すっごい風格ね。みのりんも堂々としてる」
あのちんまくて可愛い子がみのりんらしい。
なるほど、売れっ子オーラがあるよ。
「後ろの皮ツナギさんはボディガードかな」
『サザンフルーツ』の三人が振り返って俺の顔を見た。
あきれ顔だな。
「Dリンクスの『
「いやあ、あはは、有名なんだ」
「誰かヒデオに迷宮ニュースの研修をして」
「興味無さそうだもんねえ」
「流行の配信冒険者パーティの『Dリンクス』は、全員名前と顔を知ってるべきですよ」
「タ、タカシくんがいるのは知ってます」
「『
「そ、そうですか、六人居ますか」
というか、『
「ドラゴン倒したり、世界一の配信冒険者と戦って勝ったり、すごい活躍をしているのよ」
「世界一の人に勝ったの?」
「……、まあ、いろいろあって」
「詳しい顛末は動画にまとめられているからみなさいよ。『オカン大地に立つ』がタカシ君シリーズの一本目だから」
「はい」
家に帰って動画見ようかなってスマホを取り出すんだけど、大抵酔ってるからすぐ寝ちゃうんだよね。
主に迷宮の階層攻略動画を見ているから、個々のパーティの物は見てなかったなあ。
マリアさんとミノリンは大きな大きなキャンピングトレーラーの方へ入っていった。
「あれは、マリアさんの所のトレーラー?」
「そうそう、世界の歌姫だからね、楽屋トレーラーも豪華ですよね」
リーディングプロモーションのアイドルの楽屋もトレーラーなんだけど、なんか大きさが二倍から三倍違うね。
もはや動く豪邸みたいな感じだ。
あれ、鏡子さんがこちらにやってきたぞ。
「えーと、あんたらが『サザンフルーツ』?」
「そうですよ、鏡子さん、リーダーのミキです」
「『
「『
「いやあ、そうなの、照れちゃうな。でさ、うちのちびっ子があんた達のファンらしくて、サイン貰ってこいって言われてて」
「ええっ、チアキちゃん、私たちのファンなんですか?」
「光栄ですっ」
「チアキは毎日、あんた達のMV見て歌っているよ」
「わあ、わあ、どうしよう、嬉しいなあ」
「サインしますよ、色紙ですか、いや、ノベルティのTシャツにサインします?」
へえ、こういう風に配信冒険者達は交流しているんだなあ。
なかなか和やかな感じで良いねっ。
しかし、鏡子さん、すごく強そうだなあ。
一人でゴリラ達と戦えそうだな。
大迷宮時代って呼ぶ人も居るんだけど、この時代の特徴は女性も戦えるって事だね。
迷宮に入るとレベルアップでパラメターが上がるので、職業の付き方によって男性も女性も関係の無い力を手に入れる事ができるんだよなあ。
男女平等の実現、とまでは言わないけど、色々と面白い時代だとは思うのよ。
マリアさんとみのりんちゃんがステージに上がった。
いろいろと立ち位置を確認したりしてるね。
『サザンフルーツ』とチョリさんはそれを観客席に座って見ているな。
「こうやって、ライバルのステージを見るのも勉強になるんですよ」
「しっかし、みのりんは一気に売れたねえ」
「馬鹿ね、これからよこれから、デビュー曲が世界でドーンと行くわよ」
「私たちも追い上げないとねえ、ヒデオも協力してよ」
「え、俺も?」
「ふふふ、ヒデオさんは、まだ解って無いんですよね」
「ヒデオはただのおっちゃんだけど、幸運のおっちゃんなのよ」
「そうなの?」
実感は無いなあ。
鏡子さんは『サザンフルーツ』のサインTシャツを貰い、ニコニコしながら、ステージをうろうろしていた。
「何してるんだろう」
「悪者が来た時の立ち位置確認ね」
「鏡子さんはみのりちゃんのボディガードだからね」
そうか、個人的なボディガードなのか。
マイクの電源が入り、『マリア&みのり』は歌い出した。
ああ。
あああああ~。
おじさん音楽には疎いんだけどさあ、これはすごいね。
伸び上がる声、前にでる表現力、なんというレベルの高さだろうか。
「ねー、すごいっしょ」
「すごいすごい、これは別格だね」
「マリアさんも凄いけど、それに軽々付いていくみのりんの才能は凄いですよね」
いかん、鳥肌立ったよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます