第53話 みんなでロビーに上がって、何か食べに行く

「ヒデオ、次の狩りはテイムしようよっ」

「そうだねえ、先に職業ジョブの『魔獣使いモンスターテイマー』を取ってからかな、職業ジョブを取ればテイムの事をもう少し説明出来そうだよ」

「「「「ほんと!」」」」


 みんな食い付くなあ。


『今現在、こっちの世界でテイムできるのはヒデオが唯一ぐらいだからな』

『ゴリラの使役と、何か関係があるっぽいな』

『まあ、マリエンライブの後だな』


 まあそうだね、マリエンライブまでは『サザンフルーツ』の三人は狩りができなさそうだしね。


「ヒデオから見て、一番テイムの才能がありそうなのは誰?」

「うーん、ユカリちゃんかなあ、時点でミキちゃん、ムラサキさんかな」

「ユカリちゃんか!! 霊能、霊能が関係しますかっ」

「私才能ありますか」

「わたしもあんのか、へへへっ」

「今の時点でね、職業ジョブを取ったらまた違うかもしれないしね」


 霊能が関係する、のはありそうだね。

 ユカリちゃんはゴリラ達が見えて、声が聞けるからなあ。

 なんとなく、虹の橋を構築するのも出来そうだよ。


「そろそろ、空が赤くなってきた、上がるかあ」

「そうですね」

「『モグ』くん、またね~、今度は一緒に狩りしましょうね~」


 ミカリさんが猫撫で声でそう言うと、『モグ』は、うなずいて土中に消えていった。


「ああ、行ってしまった」

「悲しい、また夜のレッスンだわ」

「『サザンフルーツ』の三人はまたレッスンかい」

「そうそう、前座は責任重大なのよ」

「会場をもりあげないとですね」

「一人でも多くのお客さんに覚えてもらって、MVを見てもらわないと」


 やっぱり『サザンフルーツ』の三人も真面目で良いね。


 皆で歩いて階段をあがり、ロビーまで戻った。

 休日の夕方だけはあって、配信冒険者がロビーに帰ってきて、魔石とかドロップ品を売っているね。

 今日はレグルス陛下がいないな、どうしたのかな。


「あ、陛下はサッチャンに怒られてロビーから追放されたよ」

「マジ?」

「本当だよ、ヒデオ」


 サッチャンはレグルス陛下よりも偉いのか、すごい人なんだな。


「でもまあ、レグルス陛下はすごい沢山MV見てくれてるし、意外にアイドルに詳しくなったよねえ」

「そうそう、あたしのMVも見てくれていてありがたいよ」

「アイドル紹介動画とかやってくれないかなあ、陛下」


 それは接続数上がりそうだなあ。


 今日は狩りはしなかったので、すぐ地獄門をくぐる。

 振り返るとカメラピクシーの無愛想ちゃんがこちらにむけて小さく手をふっていた。

 またね、無愛想ちゃん。


 迷宮から外界にもどるとちょっと暑くて車の音とかがうるさいね。


「何か美味しい物が食べたいっ」

「夜からのレッスンを頑張れるような美味しいもの」

「ですねえ」

「焼肉かな」

「「「「ブッブー」」」」


 一斉にダメ出しをされてしまった。

 だめかい、焼肉。


「匂いが付くし」

「もうちょっと文化的な美味しい物がいいなあ」

「フレンチでも行くか」

「そうよねっ、フレンチよ」


 洋食かあ。

 なんだか凄く高いお店だから、なんか悪い気がするんだよね。

 まあ、でもおごりなら良いか。


 小洒落たビストロに行き、みんなでフレンチを食べた。

 美味しいお店だったけど、まあ量がなんというか少ないのだが、それは後で菓子パンとか買ってアパートで食べようか。


「ヒデオ、ちゃんとマナー守れ」

「あ、すんません」

「護衛の仕事はいろんな所に行くからね。わりとパーティ系で立食もあるし、晩餐会形式もあるよ」

「フルコースですかっ」


 一度もフルコースとか行った事が無いなあ。

 マナーとかもいまいちピンとこないしね。


「まあまあ、おいおい覚えて行けばいいよ」

「ヒデオはなんか妙に品があるしね」

「わりと良いお家だったのかな、食べ方に品があるよね」

「お爺ちゃんと二人だったからねえ、お爺ちゃんは軍隊あがりで厳しかった」

「それでかー、三郎太よりもずっと上品だぞ」

「うへえ、やぶ蛇ですね」


 三郎太くんが頭をかいた。

 まあ、彼もそれほど下品な食べ方でも無いけどね。


「アイドルになって初めてやらされたのは、マナー教室だったなあ」

「そうそう、中流だったから、きちんと綺麗に上品に食べる事って言われて、びっくりしたよ」

「タレントが食べ方が汚いと悪目立ちしますからね」


 そうか、リーディングプロモーションってそういう所からきちんとタレントを育てるんだな。

 単に良い物食べたいから、フレンチという訳でもないのね。

 ちょっと、目から鱗が落ちた感じだね。


 フレンチでの食事も修行なんだなあ。

 そうかー。


「ヒデオも護衛用のマナー教室に行け、あと三郎太も」

「あ、はい」

「俺もですか、ムラサキさん、この前行きましたよ」

「ちゃんとしてねえ、みっともない護衛がいると、タレントもみっとも無く思われるからな。あと狩りだと弁当使う所も映るしさ」


 それもそうだね。

 マナー教室かあ、そういう要素も必要なんだねえ。

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