第48話 迷宮の外に出て、一人で飲みに行く
無愛想ちゃんに手を振って地獄門を抜けると、空は少し暗くなっていた。
四時かあ。
まだ飲みに行くには早い時間だね。
あ、そうだ、山屋さんに行っていろいろと買おうかな。
俺は川崎駅の陸橋を通り、駅の東口に出た。
駅前を通って、さいか屋の方へ。
さいか屋の六階にアウトドアショップがあるんだよね。
モンベルのショップが近くにあればいいんだけど、一番近くて武蔵小杉だからね、ちょっと遠い。
さいか屋のアウトドアショップが一番近いかな。
エレベーターに乗って六階へ。
六階の一角にアウトドアショップはあった。
おお、色々なリュックが売っているなあ。
今の俺のリュックは安売り店で買ったものだから、もっと良い物にするかな。
いろんな形があるんだなあ。
大きさも色々だ。
迷宮では日帰りで、テントも寝袋も要らないので、そこまで大きいリュックで無くても良いんだけど、うーん。
大型のを買ってゴリラ達に持って貰うと輸送量が激増しそうではあるが、姿が見えないという利点が消えるなあ。
とりあえず、リュックは後にして、大型ランタンと、ヤカンとコンロを買おうかな。
なんだか色々あって目移りしてしまうね。
とりあえず、携帯性のすぐれていそうなヤカンとコッヘルと携帯式コンロとガス缶を買った。
これで、みんなにお茶をだせるね。
支払いはDカードで払った。
カードはコレまで持って無かったんだけど、便利だねえ。
でも無駄遣いをしてしまいそうだなあ。
リュックも大きい奴が欲しいのだけれど、どれがいいんだろうかなあ。
格好いいのもあるんだけど、こういうのは荷物を入れてしょってみないと解らないね。
お。
なんか、このリュック格好いいなあ。
真四角な感じで個性的だな。
お値段は四万円かあ、結構するね。
オスプレイかあ、格好いいなあ。
まあ、商売道具なんだから買ってしまうか。
そういうことで、オスプレイのリュックも買った。
さっそく、コンロとかヤカンとかを入れて背負ってみる。
おおお!
なんだか、背負子の部分が凄く良く出来ていてフィットするなあ。
これは素晴らしい。
歩きやすそうだ。
やっぱり、専門店のリュックは違うなあ。
迷宮ではゴリ二郎に持ってもらっても良いね。
うんうん。
さいか屋から出ると、空は暗くなり始めていた。
さて、今日はどこかで飲むかな。
リュックが大きくて難だけど、まあ、川崎は迷宮の街だから、意外と大きいリュックを背負った配信冒険者さんがうろうろしている。
さてさて、どこにいこうかな。
中華屋でお料理をつつきながらビールでも良いし、おそば屋で蕎麦をつまみに日本酒も良いね。
どこにいこうかな……。
で、うろうろしたのだが、またいつもの小料理屋ののれんをくぐっていた。
「あら、ヒデオさん、いらっしゃい」
「とりあえず、瓶ビールと、あとお刺身盛り合わせで」
「はい、おまちくださいね」
おしぼりで手と顔を拭いていると、瓶ビールとつき出しが出て来た。
今日のつき出しは、なにかのお魚と大根を煮たものだね。
瓶ビールをコップに注いで、駆けつけ一杯。
くうう、美味しいね。
つき出しもビールによく合うね。
「あと、揚げ出し豆腐とからあげちょうだい」
「はい、わかりましたよ」
お刺身盛り合わせが出て来た。
マグロに、ハマチに、サーモンで綺麗だねえ。
お醤油を小皿に垂らしてお刺身を食べる。
うん、脂がのっていて美味しいね。
ビールをきゅっと飲む。
ああ、美味しいなあ。
「川崎マリエンのライブコンサート、チケット取れたかい」
「いやあ、外れたよ、君は」
「俺も駄目だったよ、募集人数少なくてプレミアム付いてるってさ」
後ろのテーブルの若い配信冒険者っぽい人達が話していた。
そうかー、切符取れないぐらいの人気のライブなんだね。
「ヒデオさんはライブの警備に入るんですか」
「うん、そんな感じになったよ」
「『サザンフルーツ』ちゃんたちが出ますもんね」
女将はそう言いながら揚げ出し豆腐を出してくれた。
わあ、餡が掛かっていて美味しそうだ。
パクリ。
んーー、挽肉の餡が掛かって美味しいなあ。
ビールが何杯でも行けちゃうね。
「すいません、ビールをもう一本」
「はい、どうぞ」
女将が王冠をしゅぽっと抜いて瓶ビールを出してくれた。
いやあ、酒が進むねえ。
ここのお店は何でもないものが凄く美味しくていいね。
揚げたて熱々のからあげが出て来た。
ホクホクしながら口にいれ、ビールで流し込む。
うーん、やっぱり小料理屋は良いね。
瓶ビールを二本飲みきり、焼きおにぎりで締めてお店を出た。
やあ、美味しかったなあ。
夜の川崎をゴリラ二匹と共にぶらぶらと歩いて帰る。
背中にはとてもフィットするオプスレイのリュックだ。
明日はマリエンで警備の計画を組むらしいから頑張ろう。
空に明々と月が掛かっていた。
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