第45話 ミカリさん三郎太くんとカツカレーを食べに行く

「ヒデオ、お昼を一緒に食べないかい」

「良いですね、どこに行きます」

「カツカレー専門店に行きましょうよ」


 三郎太くんが混ざってきた。


「いいね」

「いいね」


 アイドルと一緒では行けない昼食の一つだね。

 あとは、街中華と次郎系ラーメンだ。


 護衛三人で街に繰り出した。

 三郎太くんが案内してくれたカツカレー屋さんは、男子だけサウナの裏手にあった。

 なんかハッテン場みたいなサウナであるが、普通に女性の立ち入りが禁止されているサウナ兼カプセルホテルでお料理も酒も安くて美味い。


 カツカレー屋さんは、人気店みたいで、店の前で少々まって入店した。

 なにか、凄い豚肉を使ったカツを出してくれるようだ。

 値段もそんなに高く無いね。


「ここは噂になってたから来たかったんだ」

「そうだったんですか」

「アイドルとかは連れて来られないけど、護衛達だと良く来ますよ」


 川崎は社会地位で食べに行く場所がちがうからね。

 現代のカースト制みたいな感じだね。


 頼んでいたカツカレーが来た。

 おお、揚げたてホカホカサクサクだよ。

 まずはカレーでカツを食べて。

 パクリ。

 おーーーっ。

 これは美味しい。

 ちょっと中濃ソースを掛けようかな。


「わあ、美味しいなあ、さすがのお店だわ」

「結構、はまってる奴多いっすよ」


 ミカリさんと三郎太くんもパクパクと良い速度で食べているね。

 ああ、カレーも味が深くて美味しいなあ。

 ここは当たりのお店だね。


 カツカレーは、高いお店だから美味いという物でもないんだよね。

 昔、はまったお店は蒲田の駅前スタンドカレーだったね。

 あそこも安っぽいカツだったけど、なんだか美味しかった。

 揚げたてだったからかもね。

 こっちのお店はカツの肉が良いし、揚げ方も良いね。

 お値段も良心的だから、時々来ようっと。


「お、ゴリラ配信がトップテンに入ってるよ」


 ミカリさんがDスマホでDチューブを見せてくれた。

 おお、昨日の狩りが六位に入ってるね。

 

「やっぱりアイドルが一杯いるパーティ狩りだからだろうね」

「ちがうよ」

「ちがうっす、透明ゴリラっすよ。見た目不思議ですからね」

「そ、そうなの?」


 自分の能力を面白がってくれている、のは予想外だなあ。

 本当かなあ。


「『サザンフルーツ』は人気が上がっている時期だし、ケインには女性客がついてるから、ユカリは得をしたな」

「ユカリちゃんも一部にマニアックなお客が付いてるっすからね」


 ユカリちゃんはマニア層なのか。


「ユカリは、もうすぐ新曲を出すし、良いタイミングだったかもしれないね」

「ちょっとでも手助けになっていると良いんですけど」

「なってるって」

「なってますよ、ヒデオさんっ」


 狩り動画なんか、集客が弱いかと思っていたんだけど、結構効果がありそうな感じだね。

 日常狩りで人柄が見えるのが良いのかもね。


 リーディングプロモーションの支社に戻るという、ミカリさんと三郎太くんに別れを告げて、俺は駅前に出た。


 悪魔神殿で『魔獣使いモンスターテイマー』の装備可能武器とか調べないと。

 やっぱり鞭だろうか、でっかい笛という可能性もあるな。

 うむむ、とりあえず行ってみよう。


『鞭だよう、ヒデオくんっ』


 悪魔神殿内で大目玉閣下が教えてくれた。


「あ、やっぱり鞭ですか」

『テイマーだからね。魔獣をテイムしやすくなる鞭とか、レア武器にあるよっ』

「売ってますか」

『売ってるよ、まだ『魔獣使いモンスターテイマー』は出て無いから売店で安く手に入るよ』


 お、これは先に買っておいた方が良いかもね。


『ヒデオが転職するまで、あと一レベルぐらいだ、先に武器とかスキルとか買っておくといいよ』

「ありがとうございました」


 売店に行ってみようか。

 しかし、レア武器とか高いよね、お金はあるかな……。


 やや。

 ややややややや。

 なんでこんなに入っているんだろう。

 Dスマホの口座アプリで残高を見て見ると凄いお金が入っていた。

 は、配信料かな。

 おじさん、南洋の島で隠居生活しようかな。

 それぐらいの額が入っているね。


 さっそく、売店に入ってみた。

 綺麗な女悪魔さんが店番をしているね。


「あ、ヒデオさん、いらっしゃいませ、今日の御用はなんですか」

「『魔獣使いモンスターテイマー』向きの武器を見に来ましたよ」

「そうですか、まだ出ていない職業の武器ですからわりと格安で在庫がありますよ。スキルは~~、あー、レアスキルは無いですねえ、残念」


 それは残念。

 売店のお姉さんはレア鞭を並べてくれた。


「これは……、何で振るんですか」

「主に器用度ですが、まあ、『魔獣使いモンスターテイマー』でしたら【鞭術】もすぐ生えますから」


 器用度で振るのかあ。

 ムカデの形の鞭とかあるね。

 気持ちが悪いよ。


 長いのとか、短いのとか、色々だなあ。


「スキルが付いてる奴とか如何ですか? これは【拘束】が付いていますからテイムするのに便利ですよ」

「そういえば、テイムって、迷宮の魔物を仲間に出来るんですか」

「そうですよ、成長すると凄く強い職業ジョブと言えますね」

「お姉さんもテイム出来るようになれますか?」

「まあ、おほほほほ。そうですね、百階層ぐらいを突破できたら可能性が生まれるかもしれませんね」


 ロビーの女悪魔さんたちって、結構レベルが高いのかもね。

 でも、魔物軍団を指揮して行軍するのは楽しそうだなあ。


 俺は清水の舞台から飛び降りる気持ちで【拘束】付きのレア鞭を買った。

 はあ、高かった。

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