第41話 みなでネームドモンスター『片牙』を倒す
十三階をうろうろして、十四階に下りた。
だんだんとチームの動きが滑らかになって良い感じに敵を倒せるようになってきたね。
ムラサキさんが敵を見つけて、ヒカリちゃんが弓を打ち、ヤヤちゃんが【
そしてユカリちゃんが魔法を飛ばし、まだ敵が残って居たら、最後にゴリラ達がなんとかする。
そんな流れだ。
「良い感じに慣れてきたな」
ムラサキさんが感嘆したように言った。
「だんだんと動きとかが洗練されていくんですね」
「やっぱり、ゴリちゃん達がいるから安心して戦えるね」
「それはあるわね」
うん、安定した狩りが出来てるかんじだね。
もう少し下の階でも安定しそうだ。
「二十階台でも行けそうかな」
「ゴリラが居るからな、まあでも徐々に慣らして潜っていったほうが安心だぞ」
「そうですね」
パーティの適正な階層を選ぶのも護衛の仕事かな。
もう少し慣熟したら二十階のフロアボスに挑もうかな。
十四階も特に危なげなく走破して、十五階に下りた。
下りた先の安全地帯で小休止をする。
「奇数階で休止じゃなくて、偶数階で休止を取った方がいいな」
「そうそう」
「そうそう」
「なんでよ?」
「「「「おトイレ」」」」
「ああ!」
そうか、迷宮には偶数階の安全地帯におトイレが新設されたんだよね。
「おトイレが無いときは、おトイレ動画が流出したりで大変だったのよ」
「そ、それは酷いね、カメラピクシーさんにお願いしたら撮らないでくれるのでは?」
「うっかり頼み忘れとか結構あったのよ」
「それは酷いね」
そうか、そうすると休憩は偶数階が良いんだね。
「という訳で、上に移動だ」
「あ、そうか、偶数階の安全地帯だからか」
俺達は階段を上り返して、十四階の下り階段前安全地帯に行った。
確かに、男女のおトイレがあるね。
ミキちゃんとヤヤちゃんがおトイレに入った。
「おトイレとかあって、迷宮はサービス良いですね」
「わりと配信冒険者の事、考えてるよね」
『まあ、アイドルのヤバイ動画流出は昔の話で、最近はあまり聞かないけどね』
『昔は無法地帯でやばかったよ』
ああ、リスナーの人の中には古参の人もいるのね。
十四階での小休止を終えて、十五階に下りて狩りを続ける。
「もうすぐ十六階に着いてしまうな」
「十六階でお弁当を使ってから地上に戻りましょうか」
「そうだな」
十五階をうろうろして狩りをする。
アタックドックやジャイアントトードなどを倒して行く。
基本は、オークやオーガーなんだけどね。
『アイドル中心なのに、安定してるなあ』
『透明ゴリラの安心感よ』
『ケインが剣を振れるようになっただけで、安心だよな、さすがレア剣』
十五階を行く。
この階は割とシンプルで簡単だ。
階の真ん中に謎解き扉があるんだね。
初見の時は一週間ほど正解を出すまでに停滞していたらしいんだけど、今では答えが解っているので誰でも通れる楽な階となった。
「答えはなんだっけ」
「『ほっきょくせい』だよ」
ヒカリちゃんが文字パネルを操作して答えを入れると、ゴゴゴと音がして、重厚な扉が開いた。
ここから、十六階の下り階段までは一直線だね。
「オーク二、オークリーダー一、ハイオーク一」
「オークチームだな」
ケインさんが『イナズマの剣』を構えた。
ヒカリちゃんが矢を放ったが、オークリーダーが丸盾で跳ね返した。
おお?
なんだか動きが良い敵がいるな。
ケインさんが、ハイオークに『イナズマの剣』を叩きつけた。
まだ切るという感じではないけど、当てられれば動きが止まるのはありがたい。
ミキちゃんが【さちここばやし】を発動させて、巨大な要塞みたいな衣装を一瞬で身にまとった。
『あなたの心の思い出に~~♪ 私の姿を刻み混んで~~♪』
ハイオーク、オーク二匹、オークリーダーの動きが止まった。
良く見ると肩が細かく震えて、目に大粒の涙が現れた。
感動して動けないらしい。
ユカリちゃんの『アイスニードル』が飛んで、オークの頭にぶち当たり転倒させた。
ゴリ太郎がハイオークと残りのオークを握り潰した。
あと、オークリーダーが一匹だ。
だが、奴はケインさんの斬撃を丸盾で器用に受けた。
なんだか、動きが良いぞ。
「こいつ、ネームドだ! 『片牙』だ」
「ネームド?」
「名前のある特殊な個体だ、ケイン気をつけろっ!」
「え、ああっ、くっ」
ケインさんは『片牙』の片手剣で斬られて血を流した。
ヤヤちゃんが【
さらに追撃しようとした『片牙』の体を、ゴリ太郎が後ろから握り止め、潰した。
「ゴリ太郎! ありがとうっ」
ケインさんが涙声でゴリ太郎に礼を言った。
いやあ、さすが名前付きの魔物だ。
強かったなあ。
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