第40話 十階台をうろうろ狩りをする

 皆で隊列を作って狩りを始めた。

 なにげに安定しているかな。


 ケインさんが積極的に剣をふるうようになって良いね。

 『イカズチの剣』は当たると電撃で敵を麻痺させるので、あたると美味しいね。


「バックアタック!」


 後ろからオーガーが一匹襲って来た。

 ニヤリと笑って奴は後衛の『サザンフルーツ』に襲いかかった。

 まあ、ゴリ次郎が待ち構えているんだけどね。

 ゴリ次郎は腕を振るってオーガーをぶっ飛ばした。


「ゴリちゃん!! ありがとうっ」

「次郎ちゃんは頼りになるわね」


 ユカリちゃんに褒められてゴリ次郎は照れた。


 前方のオークたちはケインさんとゴリ太郎によって倒された。

 たおした魔物達を一纏めにして、魔力霧になるのを待った。


 オークとオーガーは粒子になって消えていった。

 代わりに紫色の魔力霧が発生して俺達の胸に吸い込まれていく。


 魔石とドロップ品が落ちてきた。

 オーク帽がドロップした。

 ニット帽に豚さん風の耳が付いた物だ。

 なんとなく、被ってみた。


「……、妙に似合うわね」

「素敵よ、ヒデオさん」

「ぷぷっ、可愛い」


 意外に好評だね。


『オーク帽が似合うなあ』

『ヒデオっぽい装備だよ』

『オーク装備が日本一似合う男だなあ、ヒデオ』


 オークさんの装備セットがあるのか。

 揃えても良いね。


 迷宮の暗い洞窟の中をライトを頼りに歩いて行く。

 地下十階から下は半グレ勢が出てこないので大分良い雰囲気だね。


 地下十階のワーウルフさんなんか、半グレが集まってクリアすれば良いのにと、素人考えでは思ってしまうのだけど、半グレさんたちだと、チームワークが悪いし、戦士と盗賊ばっかりなので、なかなかクリア出来ないらしいね。

 とういう事でどうしても、六階から十階の間に半グレさんたちは溜まるらしいよ。


 先行はムラサキさんで、前方を探りながら進んで行っている。

 時々小部屋を開けて宝箱をチェックするのだけれど、十階台だとあまり残って居ないようだ。


「二十階台ぐらいだと、結構残っているんだけどね」


 十階台は急いでフロアボスを抜けたパーティが習熟するので、宝箱は結構開けられているっぽい。


「まあ、十階台後半になれば少々違うかもね」

「宝箱は楽しみだけど、まあ、そんなに凄い物は出ないでしょ」


 ケインさんがつぶやいた。

 まあ、こいういう物は確率だから、最初から諦め無いで開け続ける事が大事だね。


 ハイオークとか、ジャイアントバットとかを倒しながら十一階を抜けて行く。

 ケインさんがレベルが高いし、ムラサキさんもベテランなので、安定した感じの狩りだね。


 時々、ミキちゃんが『さちここばやし』を使って、『思いで酒』を歌って、オークを感動させて動きを止めたりしていた。

 なかなか、良い感じで呪歌が通るね。

 その分、目立つので敵が迫ってきたりしたが、まあ、ゴリラ達がやっつけるので何とかなっている。


『いいなあ、『さちここばやし』』

『呪歌の成功率と効果が上がるな』

『専用呪歌もあってすげえ』


「良いなあ、レアスキル」

「ネタスキルをあえて試して見る勇気だな」

「特定職業に効くスキルとかあるからなあ」


 色々な条件とか、職業とか、スキルとかあって、迷宮は思ったより深くて広がりがあるね。


 十二階を抜けて、十三階に下りた安全地帯で休憩だ。

 『サザンフルーツ』もユカリちゃんも、俺にお菓子を沢山くれるので嬉しいが、あまり甘い物が好きじゃないので、わりと困るけど、食べる。

 ムラサキさんもナッツバーを食べているね。


 山下さんみたいに、ヤカンとコンロをもってきて暖かいお茶を入れるべきだなあ。

 今度、買ってみるか。

 だが、どこで売ってるのかな。


「ムラサキさん、山下さんが持っているような、コンロとかヤカンとかは、どこで買うもんですか?」

「山屋だな、アウトドアショップに売ってるよ」


 ああ、登山用品なのか、今度行って買ってみるか。


「ヒデオ、お茶セット買うの?」

「お茶を出すのも護衛の仕事かなって思って」

「ちがうけど、まあ、やっても良いぞ」

「山下さんのお茶はありがたいよね」


 アイドルの子たちは、お菓子とペットボトルのお茶をもって迷宮に来ているけど、人によって持ってくる物が違うんだよね。

 お茶だけでも出すと、良いかもしれないね。


 小休止を終えて、また狩りを始めた。


 ジャイアントトードとか、アタックドックなどを倒して行く。


 やっぱり、ケインさんの動きが良くなると、便利だね。


「構えが良くなると良く当たるじゃんよ」

「ああ、ちゃんとした構えが解ると当てられるようになるね」

「良い事だぜ」


 ムラサキさんは、きゅっと笑った。

 ハイオークから、【風斬ウインドカッター】の呪文スペルが出たので、ユカリちゃんに読ませた。


「これで、ファイヤーボールと、アイスボール、ウインドカッターを手に入れたので、アースバレットが手に入ると、初歩投射魔術は揃うわね」

「魔術の呪文スペルも種類が多そうだね」

「いろいろあるから揃えるのが大変なのよ」


 魔術師も職業として大変そうだねえ。

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