第28話
扉が開き、彼女が入ってくる。
「あ、おはよう、早いね」
そういって笑顔を見せる。しかし、いつもとちがって喜べない。今朝のことが気にかかる。そもそも彼女は、あれを見ていたのかどうか。直接聞くべきか。いや、でも万が一見ていなかった場合墓穴をほることになるぞ。
「お、おはよう。今日は何時からなの?」
とりあえず、ジャブを打ちつつ、うまい具合に聞きだすぞ
「一緒だよ(笑)帰る時間も一緒!」
「あぁ、じゃあ一緒に帰る?」
ん!?今なんて言った?
「あー、良いよ!」
こうして、彼女と一緒に帰宅することになった。といってもここから10分程度の駅まで行くだけなんだが。しかし、これで学校での出来事を聞き出すチャンスが増える。というか純粋にうれしい。
今日はアルバイトの時間がとても長く感じる。ちょくちょく時計を確認するが五分、ひどい時など一分しかたってないときもある。壊れてるんじゃないかと自分の時計も見る。やっぱり同じような時間しかたっていない。全く集中できない。
「お釣り多くないですか?」
お客からの声で現実に引き戻される。謝罪し、正しい金額のお金を渡す。いかんいかん。流石に集中しなければ。
ようやっと終業時間になり、タイムカードを押す。いよいよだ。
「ごめん、事務所で少し待ってて」
彼女にそう背中を叩かれる。彼女を待つ間、有頂天に上る気持ちだが、ふと冷静になる。そうだ、今朝の出来事を見たかどうか確認しなければ。とりあえず、学校の話をしつつ、、、
「おまたせ、もうちょっとまってて」
そう言って彼女は更衣室へ入る。今身に着けている超能力はテレポートとテレパシー。どうせなら透視とかもあればよかったのに。舞い上がって調子に乗っているのだろうか、そんな邪な考えが浮かんできてしまう。
「こう、隣の客は」
すると目の前がすこし霞む。心なしか少し壁が透けて見えたような。
「隣の客は」
今度は、彼女が上着を着ている姿が見えている。遅かった。いや違う。透視能力だ。新しい力を身に着けたんだ。こうなると、他の力も早口言葉を唱えれば、使えることができるんじゃないだろうか。早速俺は、早口言葉を唱えようとするが、いざ思い出そうとすると何も思い浮かばなかった。
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