第26話
大きなあくびをしながら、食卓へと向かう。昨日はやっぱり疲れたな。携帯を見るが彼女からの返信は来ていない。返信内容がちょっと気持ち悪かったか。結構返信までが遅かったからな、ちょっとショック受けてるんか?全くかわいいなぁ。
朝食を終え、学校へと向かう準備をする。準備が終わり、テレビを見ている。母が驚いた顔でこちらを見る。
「あんた学校は?まだ行ってなかったの?今何時?」
矢継ぎ早に質問をぶつけてくる。
「あぁ、もうこんな時間か」
さも問題ないように立ち上がり、落ち着いた様子で家を出ようとする。
「送っていこうか?」
母は続けるが、特に答えず、玄関を開ける。出てすぐに深呼吸をし、呼吸を落ち着かせる。目をつぶり想像する。出入りする人人の足音、水の流れ、トイレットペーパーのカラカラ音。
「カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ」
すると身体が一瞬軽くなり、目の前に便器が見える。
うわっ、またトイレかよ。いや、良いんだ。ここに移動するようにイメージを描いたんだから。
そのまま、個室に入り、便座に腰を掛ける。そしてまた、深呼吸し、目をつぶる。ここと同じようで少し違う。ドアの色、様式の違い。
「カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ」
再び軽くなった身体は、私を個室へと運び出した。恐る恐る外を覗いてみる。間違いない。学校のトイレだ。どうやら超能力をコントロールできるようになってきたみたいだ。小さくガッツポーズをするとアイツが驚いたような顔でこちらを見ていた。
「お、おはよう」
するとそいつは何事もなかったように挨拶を返してくれた。そして続けて
「今日は早いな。というか教室いかずに直接トイレきたの?」
「いや、ちょっとおなか痛くて」
「そうなんか。大丈夫?」
「あぁ、もう大丈夫だよ。すっかり良くなった」
2人で一緒にトイレを出て教室に向かう。するとそいつが不思議そうな顔をしていう。
「お前かばんは?」
まずい。忘れた。ちょっと取りに行ってくるわ。トイレに戻って、テレポートすれば、余裕で間に合うはずだ。早速戻ろうとすると携帯に通知が入る。
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