第24話

 翌日、興奮冷めやらぬといった感じで、朝早く目が覚めてしまった。正直超能力が手に入った時よりも寝つけが悪かった。いまいち使い勝手の分からない力よりも目の前にあるちょっとした嬉しいことなのだ。

 シャワーを浴び、自分の机に腰をおろす。久しぶりに勉強でもするか。と思い、カバンから教科書を取り出す。すると携帯に一件の通知が入った。


「今、大丈夫?」


 彼女からだった。椅子から飛び上がり、携帯と共にベッドへとダイブする。

 すぐに返信しようとしたが、あまりに返信が早いとキモがられるか?でも、なんでこんなことを聞いてくるのかその理由を早く知りたい。勉強の事はすっかり頭から抜け落ちていた。


「大丈夫だよ。どうしたん?」


 と打ち込み全部削除する。どうしたん?は馴れなれしくないか?


「大丈夫だよ。何かあった?」


 これだな。文面に丁度良い距離感が現れてるわ。よし、送信、はまだ早いか。五分、あと五分待とう。それまで勉強でもしますか。立ち上がって机へと向かう。椅子に座り携帯を見る。教科書を開いて、携帯を見る。鉛筆を持って、携帯を見ると見せかけて、置き時計を見る。更に携帯で時間を見る。だめだ、全然集中できない。こういう時は、かえって何もしないほうが良い。再びベットへダイブすると、5分経っていた。今度こそ送ろう。いや、ピッタリ5分もキモイか。あと1分まつ。よし、送るぞ


「大丈夫だよ。何かあった?」


 するとすぐに返信が来る。おい、俺のこと好きだろ、これ。


「電話していい?」


 早速電話かよおい、告白は直接伝えたいタイプか。うんうん。受け止めてあげよう。


「いいよ~」


 するとすぐに電話がかかってきた。


「あっ、もしもし、急にごめんね」

「いや、全然大丈夫」

「あのさ・・・」


 来るぞ来るぞ。


「この間のバイトの件なんだけど」

「あー、うんうん」


 そうだ。そもそも彼女の連絡先を持っているのは、バイトの合否を聞くためだった。


「ぜひ家で働いてほしいって。・・・もしもし、聞こえてる?」


 勝手に期待を裏切られ、しばし呆然としていた。


「あっ、ごめんごめん。分かった」

「後で細かいことは連絡するね。これからよろしく」


 そういって電話が切られた。

 なんだバイトか。いざ受かるとなるとめんどくさいな。別にプレゼントの事は何も言っていないし、やめときゃよかったかな。いや、でもそうでなければ彼女とこうして連絡することは出来なかったんだ。それに同じバイト先なら、これからもっと話す機会も多くなるだろう。そう考えるとバイトも悪くない。

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