第5話 大岡昇平著 コルシカ紀行 5/1

今回は大岡昇平著『コルシカ紀行』です。

中公新書の‎ 978-4121003072。

NDC分類では文学>日記. 書簡. 紀行に分類しています。

1972年の本だから、だいぶん古い。


1.読前印象

 コルシカ島は地中海にある島で、イメージ的にはマフィアがいる。1972年っていうと丁度ゴッドファーザーが公開されたころと思う。この間ゴッドファーザー50周年してたからな。そうするとそれ関係の本なのかなと思う。そうするときっと、現代のコルシカ感とは随分ずれるのかなっていう気がする、かも。要するにあんまり知りません。

 さぁ、張り切って開いてみよう~。


2.目次と前書きチェック

 目次を開いてみると、アジァシオとかボッツオ・ディ・ボルゴの城館とか、なんとなく地名っぽい名前が並んでいる? うん? ただの旅行記かな。なんとなくそんな気がしてきた。知ってる単語が含まれるのもナポレオンの家、くらいだ。

 コルシカのことはよく知らないので、中身に移動。


3.中身

 空港に荷物を預けるかどうかとか、空港の風景から始まった。やっぱり旅行記らしい。

 その後にその道程中の折々でコルシカの軽い歴史や気候、街の雰囲気や人となりなんかに触れられつつも景色が色鮮やかに浮かぶような紀行文。紀行文としての配分は読みやすくバランスがいい。なんつかな、ブログ感がある。スープが生臭いとかパンは安かったとか食レポ感もある。

 ……これは知識豊かな作者の身の丈を基礎としたウキウキ観光旅行記だ。

 そういえば僕は紀行文ってほとんど読んだことがないことに気がついた。例えばある土地の姿を知るため積極的に本をあさったりググったりすることはよくあるが、漫然と紀行文というものを読んだ記憶がほとんどない。しかも特別には興味のない土地の紀行文を。

 確かに読んでみれば面白いといえば面白いし、その軽妙な筆致にはなかなか惹かれるものの、正直とても奇妙な体験だなあと思う。新しい読書体験?

 さて、小説を書くにあたって使えるかというとなかなか悩ましいところだと思います。紀行文というのはそのときの状況を切り取るもので、1972年前後のコルシカを描くにはこの本はとても有用だ。つまり僕がこの本を資料として使うのなら、マフィアが牛耳る島の一市民の視点の資料というところだろうか。この本は牧歌的に観光をしているのでマフィアの資料としては使えなさそうだけど、殺し屋が街角に潜む場所を探すのにはよいかもしれない。

 そして現代の小説として資料として使うにはきっと古すぎる。


4.結び

 紀行文を読むという新たな行動を開拓した気分。たくさんある本の中で積極的に読もうと思うジャンルではないけれど、この時代を描く時は参照したいので存在を覚えておこう。……今のところ書ける気がしない。僕はヨーロッパの造詣が薄すぎるんだよね。つまり活用できない僕が悪い。


 次回は村山修一『山伏の歴史』です。

 村山先生ってことはきっとちょっと古い本かな。

 ではまた明日! 多分!

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