第3話 白井太一郎編 古代を考えるシリーズ 古墳 4/29

今回は吉川弘文館の古代を考えるシリーズ、白井太一郎編『古墳』です。

ISBN-13. 978-4642021470 。

NDC分類では歴史>日本史に分類しています。

平成元年発刊なので少し古い。


1.読前印象

 俺は何故この本を買ったのかよくわからない。多分100円とかで古本で買ったんだと思うけれど、とりたてて古墳を書く予定はないのだ。でも神津のスカイワルドのあたりは古墳時代の古墳があるからそのための資料かも。僕はとりたてて古墳に詳しいわけじゃないので、とりま読んでみる。

 さぁ、張り切って開いてみよう~。


2.目次と前書きチェック

 目次の前に古墳の写真がある。青森の三内丸山遺跡は見に行ったことがあるんだけど、扱われているのは近畿の古墳が多そう。目次を見ると、これは共著なんだね。各テーマで古墳について語られている。

 ざっと目次を見てみれば、前方後円墳の誕生、古墳分布の拡大、巨大古墳の造営、古墳の変質、副葬品は語る、群集墳の形成、古墳の終末というテーマで各専門家が論説を書いている。

 ああ、思い出した。このころの青銅器から鉄器の製造への遷移が気になってたんだ。でも日本は中国や欧州と違って両方ともほぼ卑近な時期に日本に入っていたような記憶。確か1世紀も差は無いんじゃないかな。まあ中国で製鉄技術は結構前からあったからな。大々的に剣として使われるようになったのは戦国後期でそれこそ干将・莫耶のころだ。呉越楚あたりは鉄器の名産だが、この時点より前は鉄は悪金と呼ばれてあまり地位が高くはなかった。多分それ以前の製鉄技術では硬度が低かった。そういえば中国は鋳造から始まって鍛造という他の地域と比べて製鉄の歴史が逆なんだけど(必ずしも逆ともいいきれないが)、鉄の本もそれなりにたくさんあるからその時になんか書こう。


3.中身

 共著って難しいな。とりあえず最初から読んでみよ。

 古墳というのは最近の発掘技術の進化で弥生時代のころの古墳も結構発掘されるようになったそうだ。なるほど。

 何故このような形の墓が作られたかについて古代中国の郊祀墓と比較しているのは面白いけれど、公式に天を祀ったのって桓武天皇が最初だったんじゃなかったかな。そもそも天を祀るという文化が日本にどの程度あったのかといえば少し懐疑的な気はする。でも渡来人は昔からきているから基礎的な概念としてはあってもおかしくないのかも。他にも古墳の形状や地域特性、比較文化という観点から見るととても興味深い。

 それでこれはやっぱり民俗学ではなく考古学の本だなと思った。

 つまり古墳や副葬品の形状といった観点での研究に溢れていて興味深いものの、例えば小説を書くにあたってのエピソードのようなものは現れない。古墳のことを調べるのに当時の時代の古墳を探すことはできたとしても、そもそもストーリーの中で古墳の形状の比較を披露する場面などなさそうだ。あら、私の古墳は竪穴系横口式石室であなたの古墳より最新モードよなんていう話を繰り広げたりはしないのだ。

 一方で古墳を発掘する登場人物を書くにあたっては有用そうである。うちでいうと金井君なんだけどさ。あの人遺跡掘るけどもともと民俗学者なんだよな。なお民俗学と考古学の違いは、前者は口伝等を前提とした人の間に伝播していくものから歴史民俗を探るのに対して、考古学は掘り出した物の形状等から直接歴史を推認すると分類されている、という記憶。なので考え方は結構違うんだけど、金井君は現ファの人間なので細かいことは気にしないのだ。


 ああ……なんか思い出した。古墳時代のころのマレビトが山から降りてきて祖霊の扱いの文化差で云々する話をお蔵入りにした記憶がある。お蔵に入ってるの結構多い……どこにおいたか忘れた……。でもこの時代感の話って空気感が上手く把握できないから難しい……。


4.結び

 この本は古墳の断面図や立面図なんかがふんだんに掲載され、古墳というものがどういったものかを知るには有用なものと思う。小説の資料としてはあまり向かないかもしれない、というかそもそも小説資料として書かれてないし!


 次回は中川右介著『クラシック音楽と西洋美術 教養のツボが線でつながる』です。

 何でこんな本買った、俺。

 ではまた明日! 多分!

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