Episode.22 Ready to connect to the future

 明かりはしっかり点いているはずが、クラス・イグニートの教室は全体的に重苦しい空気に包まれている。生徒は暗い顔をして、下を向く者がほとんどである。教壇に立つのはブレイドで、サラは横の壁際で両手をギュッと握りしめ眉根を下げている。


 「言っておくが、俺はやると言ったことはやる。テメェらが今どういう精神状態だろうと、知ったこっちゃねェ。その悔しさを痛みとともに脳に刻め」


 生徒のまるまった身体にグッと力が入る。覚悟は決めたがわずかな恐怖があるといったところだ。


 「さーて、まずはどいつからいくか…」

 「先生!」


 バッと立ち上がったのは――フレアだ。


 「私を一番はじめに殴ってください!」


 クラスメイトは目を剥き、あ然としてフレアを見上げた。ブレイドは表情を変えず、フレアが胸の前でギュッと手を握りしめる姿を見つめている。


 「私、負けてめちゃくちゃ悔しかったんです。手も足も出なかった。このままじゃ気が収まりません。だから、思いっきり殴ってください!」


 しん、と教室の中が静まり返る。

 すると、また一人、スッと立ち上がる者がいた。


 「デメトリア…」


 フレアは驚いた様子で無言のチームメイトを見つめた。

 エレーナがふうと息をつく。


 「右に同じく」

 「わ、私も…!!」


 ローズに続き、シャウリーも目をつむり微笑む。

 チーム・スカーレットが全員立ち上がると、何人かが勇気を振り絞るように呻く。


 「俺も!訓練どおりに力を出しきれませんでした!」

 「私も!チームの足を引っ張ってしまいました!」


 次々と席を立ち、いつしか座る数よりも多くなっていた。


 「観念するしかないわね。アスタ」

 「マジでやんのか?全員?」


 一番最後まで座り込んでいたアスタだったが、ルビーに肩を叩かれると、しぶしぶ重い腰を上げる。

 まさに総立ちとなった今、ブレイドは骨の指をコキコキと鳴らす。


 「全員、いい覚悟だ。テメェらの将来に今から期待するぜ」


 彼の瞳には、成長して一人前になった生徒たちの未来の姿が見えていたかもしれない――。

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