第10話 仮面姉妹はちょいと無双

 ギルド《七つ星》に入団した後、荷物を取りに帰り、体を休めた後ギルドに来ていた。


 ギルドのホーム内に入るとユキとマシロに出迎えてもらい空いている部屋に案内される。


 マシロからは昨夜謝罪を受け取ったがマシロはまだ気まずいようで顔をそむけているが、声は小さいがきちんと案内してくれる。


「この部屋、団長が使っていいって」


「その、部屋はいいんだけど︙︙この仮面まだ取れない?」


 先日付けられた仮面が未だに剥がれないので荷物を置きながらユキに質問するとまだ取れないらしい。


「荷物置いた?置いたならあなたのレベル上げに行くよ」


「あっ、はい。すぐにいきます」


 ユキの優しさが垣間見える塩対応に返事を返し、必要最低限のアイテムを持ち部屋を出る。


「その、ユイさんは今レベルどれくらいあるんですか?」


 気まずさが未だに残るマシロからの質門に、少しでも和らぐといいなと思い軽く返す。


「今はまだレベル十三ですよ、なかなかレベルって上がりにくいんですよね」


「それなら、森に生えてる呼び寄せ草を使いませんか?ユイさんのレベルならまだまだレベル上げに向いているでしょうし」


「うん。妹よ、ナイスアイデア」


 何がナイスアイデアなのかはわからないが私はやっぱり姉妹だったのかと思いながら姉妹二人に連れられて森林に向うのだった。




 ――――訓練森林――――


 訓練森林と呼ばれるこの森林は、初心の大森林の内部に位置し、初心の大森林の奥地、つまり初心者を脱却した者が訪れ訓練する場所、または試練を受ける場所と言う所から名付けられたのが訓練森林である。そして私はその訓練森林に来ていたのだった。


「発見、コレで効率五倍ぐらい」


 そう言ってユキに差し出されたのは知っての通り呼び寄せ草だった。見た目はスズランの様な花で甘い香りが微かにただっている。


 ユキから差し出された呼び寄せ草を受取、どうすればいいのか、と困惑しているとユキからの指示が飛んでくる。


「マシロは詠唱しておいて、ユイはつぼみをすりつぶしてから水と合わせて自分の体にかけて」


 ユキはいたって真面目な顔で綺麗な水とすり鉢を差し出してくる。


「すり潰してかけるの︙︙?自分に??」


 ユキは「当たり前」とだけ言い残し呼び寄せ草を追加で探している。


 私の抗議の声も虚しく泣く泣く呼び寄せ草から蕾だけをむしり取る。呼び寄せるす草の蕾をすり潰すと黄色くてドロ〜としたとても甘い匂いを発する液体が溢れ出てきて、それを綺麗な水と混ぜる。


「準備できた?」


 ユキの言葉にマシロは頷き私はすり鉢の中にある呼び寄せ草の液体状のアイテムをユキに渡す。


「ユイはそこに座って、これ、かけてあげる」


 力なく座り込むと頭からユキに呼び寄せ草の液体をかけられる。体から甘ったる匂いが漂い、服が体に引っ付いていてとても気持ち悪い。


「これ、すっごい匂いしてますけど大丈夫なんですか?正直めっちゃ気持ち悪いんですけど」


「少しだけ我慢して、すぐにベトつきはなくなるから」


 匂いはなくならないんだと思いながらも少し待っていると体のベトつきがなくなる代わりにモンスターがやってくる。


「アイシクルランド」


 マシロが使用した魔法アイシクルランドにより、地面が氷つき、敵の足を絡め取る。それに合わせてユキも動き敵の両腕を切り落とす。


「トドメは貴方が刺して」


 マシロとユキのコンビネーションに凄い︙︙と言葉を残し、トドメを刺しまわるのが私の精一杯だった。


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