第9話 ギルド入団します。
「本当にありがとでも、本当に勧誘目的で近づいたわけじゃないんだよ?どこかのサブマスと違って」
目尻に涙をためながらお礼を述べるノエルに名前も知らない水色髪の少女が頭を撫でる。
表情が般若面に隠れて見えないがノエル頭を優しく撫でる般若面の少女を見たら二度見もんだよねと思いつつ話を続ける。
「その、ノエルさん、ギルドに入るのはいいんですけどその人達は一体誰なんです?」
私は空気の流れを変えようと努力して話を振る。
「ごめん、忘れてた」と言い、泣き止んだノエルは自己紹介ならぬ他己紹介を始めた。
「こっちの赤髪のこの人は【カイン】って言ってうちのサブマス。で次にそこで机に突っ伏せて寝ている魔法使いが【マシロ】で、そこの般若面が――――」
「自分で自己紹介するからいい。私は【ユキ】漢字ではあの冬の時に降る白くて冷たい雪って書く、よろしく」
ユキの胸を張った自己紹介が終えると先程に続いてノエルが紹介を始める。
「ユイちゃんはもう知ってると思うけど私はノエル、一応ギルマスだよ、そしてあとここにいない二人はまた今度紹介するね」
「どうせ、あの二人は呑気だから昼寝でもしてるんじゃないか?」とニヤニヤしながら言うカインにノエルとユキは確かにと頷きつつ最後に笑いが起こり無事に自己紹介が終わった。
このギルドの過去の話などで場の空気が和んできた頃、私は一つの疑問を口にする。
「その、カインさんって昨日合った金髪であの峰打ちを決められた人なんですか?」
私の発言にノエルとユキは笑いカインは恥ずかしそうにしながら言い訳を始める。
「金髪でギルマスに峰打ち食らわされたあのカインですよ、けど、仕方ねぇじゃんか!勧誘とかしたことねぇんだからよぉ」
カインの言い訳に再び笑いが起こり、ついには机で寝ていたマシロと紹介された人が目を覚ます。
「ふぁ︙︙、よく寝た」
未だに眠そうな声を上げながら目覚めたのは顔におかめ面をつけた少女だった。少女は目をゴシゴシと擦り目のぼやけが取れてきたのか顔がこちらに向く。
「きやっ︙︙」
目が合った驚きからなのかは知らないがマシロが椅子から転げ落ち、おかめ面がポロリと落ちる。
仮面の奥にはピンク色の瞳に綺麗だが幼さの残る顔が画面が落ちたことにより現れる。
「だ、誰!?!?」
余りの驚きっぷりに仮面が落ちていることにも気づかずに魔法を発動させる。
「アイスクルランス!!」
目の前に生成された氷の槍は一直線に飛んでくる恐怖に私は目を強く瞑る。だが、いつまで経っても私には当たらないので気になり恐る恐る目を開く。
目を開くと前にはユキがいて、氷の槍を
私がお礼を言おうと口を開く前にユキが喋り始める。
「妹がごめん。それと顔見た?」
ユキが振り返り、こちらに歩きながら謝罪と質問をする。
「え?う、うん。それとありがとう」
「そう︙︙。じゃあ仕方ないよね」
ユキが左手を操作しながらこちらに近寄ってくるのに恐怖を感じながら待っていると目の前にユキがくる。
「慣れるまではコレで許してあげる。ようこそ、仮面一族へ」と言う言葉とともに私の顔に狐の半面が付けられる。
「ねぇ、コレ取れないし、変なマーク出てきてるんだけど︙︙」
「呪いかけておいた。心配しないで明日には取れるはず︙︙」
「はずとか言わないで、怖いからほんと︙︙」
ハプニングが発生はしたがその後は特に何も無く、イベントまでの間の作戦やスケジュールを組んでいるとすぐに一日は終わっていく。沈み始めた夕日を背後に私はお礼を言い、宿に帰る。
「今日はありがとうね、ユイちゃん」
ノエルやその他のメンバーからの見送りに手を振りながら宿に向う。
「ユイちゃ〜〜ん!!、今日はギルド!《七つ星》に入団してくれてありがとうね〜〜!!!!」
ノエルの感謝の言葉を最後に、ギルドメンバーはホームに戻り、私は荷物を取りに宿に向うのだった。
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