第8話 勧誘
――――噴水前――――
私が噴水前前に予定時間より少し早く到着すると、先に来ていたノエルが私を見つけたようで手を振っている。
「あっ、ノエルさん!こんにちは」
「うん、ユイちゃんこんにちは」
私達は挨拶を素早く済ますと、さっそくノエルが招待したいと言う、ホームに向う。
この時、ノエルが少し遠慮がちだった事を私はまだ知らない。
――――ホーム――――
ホーム前に着き、私はホームの大きさに驚愕した。
視界に映るのは少し大きめの庭に小さい噴水、両開きのドアに石造りながらも表面は滑らかな壁に途中まで白い塗料が塗られていたり、屋根にはドーマがついている少し大きな屋敷だった。
「ここが、私のギルドのホームだよ」
初めて見た大きい屋敷に驚きを隠せずに放心し続ける私を知ってか知らずかノエルは話を続ける。
「それじゃあ行こうか。ユイちゃん」
「――ぅ、うん」
ノエルに手を引かれながら屋敷の中に招待される。
ノエルに体を委ねる形で屋敷の中にに入ると中には廊下にひかれた赤い
「お帰りなさいませ。ノエル様」
「お帰りなさい!ノエルちゃん」
ノエルは特に気にした様子はなく「うん、ただいま〜」などを返し、廊下奥の部屋に私を案内する。
「ねぇ、さっきのメイドさんと、この大きなお屋敷って︙︙」
「このお屋敷はね、さっき言った通り私とギルドメンバーが使うホームでね、さっきのメイドさんは家で雇ったメイドさんだよ」
ノエルは知ってか知らずかはわからないが私が知りたかった疑問の答え、私は知らぬうちに疑問を口にしてたのではないかと考える。
いろんな事に驚きつつも歩きを進め少しは慣れてきた頃に目的の部屋に着く。
「よし。ユイちゃんドアを開けて先に入って」
ノエルの急な命令に驚きながらノエルの顔を見ると楽しそうに笑っていて、からかわれているんだなと思い私は諦めた表情でゆっくりドアを開く。
ドアの向こうには机を取り込むように座る三人の内の一人と目が合い、目が合った緊張からドアを思いっきり閉める。
(目が合った、目が、目が︙︙)
(目が合ってしまった)と言う言葉で頭が埋め尽くされる中、先程目が合った人はどこかで見たことがある様な︙︙と考える考える余裕があるようでどうでもいいことを考えてしまう。
「ユイちゃんどうしたの?
「い、いえ︙︙なんでもないですヨ︙︙」
ノエルからの圧を少し感じながらまたゆっくりとドアを開ける。
ドアが少し開くと、先程目が合った既視感のある人と目が合いドアを思いっきり閉めたくなるが目を瞑ってゆっくりドアを開く。
ドアを開き切ってから、目を開けると椅子に座っている三人の内の二人と目が合い、固まっているとノエルからの助け舟が出航した。
「よくできたね〜ユイちゃん。緊張しちゃうよね、ごめんね〜」
にこやかな笑みで褒めるノエルに(貴方がやらせたんでしょ!?)と思いつつも首を縦にふる。
「あ、ノエル、お帰り。そしてその子が例の子?」
声の主を見ると、そこには綺麗な水色のショートヘアをし、顔に
私が少女に興味を持ちじっと見つめていると少女は恥ずかしそうに顔をそらす。
「紹介するね、この子は――」
ノエルが説明をしようと声を出した途端、男性の別の声が部屋中に響き渡る。
「あぁぁぁぁっ!その子はあの時の美少女じゃないか!」
私は声の主の方を向くとやはり見たことのない様な気がする様な赤髪の男性プレイヤーがいた。
難しそうな顔をしていた男性は驚きの表情の後、紹介を邪魔された仕返しにノエルが木刀を
「この子の名前は《ユイ》ちゃんって言って、昨日始めたばかりの新規さんよ!」
ノエル紹介された私はペコリと頭を下げ「よろしくお願いします?」と、挨拶をする。
「それで、例の件の了承はもらったの?」
例の件と言う単語に私は首を傾けるがわからないまま、ノエルに座るようにと促され私とノエルは席に座る。
「その、例の件って何なんですか?」
先程から気になっていた事を聞くとノエルは「これから説明する」といい、少しの沈黙が訪れる。
気まずい空気の流れを断ち切ったのは先程木刀を投げられた男の人だった。
「えっと︙︙ユイちゃん様かな?君、ギルド入ってないだろ?」
「ユイちゃん様」と言う謎の単語に首を傾げつつも、ギルドには入っていないので頷き、返事を返す。
「君にも今朝イベントのメールが来たはずなんだけどね、来週にある『ギルド対抗戦』と言うイベントが来るんだけどよ、実を言うと人手が足りなくてな」
「そこでユイちゃんにお願いがあってさ、どうかイベントに参加して欲しいの。お願い、家のギルドに来てくれませんか?」
話は要するに内容はギルド対抗戦に参加するには人手が足りなくて参加して欲しいと言うことだった。
「︙︙︙︙」
「悪い!あん時俺が素直に誘えてたら良かったよな。俺、人を誘う方法とか苦手でよ、ナンパみたいになっちまったからよ」
私は男性のプレイヤーが何のことを言っているのかはわからないが、私の正直な思いを、ノエルに伝える。
「正直私は足手まといだけど、それでもいいならよろしくお願いします」
私は言葉を言い終えると同時に頭を下げる。
ノエルの目尻に涙が溜まっていた気がしたが、頭を上げて確認する勇気もなく約三秒間という時間で考えていた。
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