第6話 ダンジョン

 私達は、順調にダンジョンを進み、三階層目に突入したころを歩いていた。


「順調に進めてますねノエルさん!」


 少しの間だが一緒にいたおかげで緊張は和らいで、ダンジョンって意外と楽勝だなと思い始めた頃、私は初めてダンジョンの恐ろしさを実感する。


 鉄と鉄がぶつかり合う音が鳴り私が振り返ると、ノエルが片手で剣を使い矢を斬り落としていた。


「ユイちゃんまず、ダンジョンの中での緊張を解かない、これ基本ね、敵の中には奇襲を仕掛けてくる奴らがいるから索敵は大切だよ!」


 後ろから攻めてくるスケルトンの軍隊を倒しながらノエルが教えてくる。


「ユイちゃん、スイッチって知ってかな?まぁ、いいやユイちゃん前衛任せれる?」


「はい、前衛ですね任せてください!」


 私はノエルに任された前衛を引き受けるため、ノエルが後ろにジャンプした後に私が剣を抜きながら前に出る。


「せいっ」


 少し走ってからストレートストライクを使い、目の前にいるスケルトンのボロい盾を砕いてから敵を倒す。


「ユイちゃん少し耐えてね、今から詠唱をする」


 ノエルの言葉に頷き、目の前のスケルトンに向かって剣を振るう。


 私は敵の後方にいる弓矢を使うスケルトンの矢の何本かをしのぎきれずに体に刺さり、Hpが減りが、剣を振るい牽制けんせいしたりしているとノエルの「ユイちゃん後ろに下がって!」と言う指示を受け、飛んでくる矢を凌いでから後方へ走る。


「【ウォーターエッジ】」


 私が後ろに下がると同時にノエルは魔法系スキル【ウォーターエッジ】を発動し水の刃がスケルトンを切り裂いていく。


「いやぁ、ノエルさん助かったよ」


「いやいや、こちらこそ助かったよ、てか、ユイちゃんまだレベル十二でしょ?よくHp半分も残して持ち堪えたね」


 ノエルが言うには敵のレベルが八から十ぐらいなので瀕死、までとは言わないがHpバーがイエローゾーンに入ってもおかしくないということだったらしい。


「火事場の馬鹿力ってやつなのかな?それよりもノエルさんって魔法使えたんですね」


「えぇ、私は昔にソロで遊んでたから魔法が使えないと複数の敵が出てきた時に対処ができないからね水属性魔法のスキルを覚えておいたの、まぁ、スキルポイントは自分がやりたいことのために振るのが一番だと思うけどね」


 ノエルはポイントなどに関してはかなり詳しく、少し後悔の混じった笑顔で教えてくれた。


 私は今まで、ソロでやるには剣だと殲滅力せんめつりょくが足りなく、魔法だと殲滅力があっても詠唱ができなければ終わりだからどちらを取ればいいか悩んでいたが、ノエルのお陰でどの様にポイントを振ればいいか少し分かったような気がした。


「それにしても初めてのダンジョンでスケルトン軍団に会うなんてラッキーだねユイちゃん」


 少し、嬉しそうに言うノエルに疑問を持ち質問をする。


「スケルトン軍団に会うとラッキーなんですか?私はアンラッキーだと感じたんですが」


 「ごめん、ごめん」と誤りながら説明を始めたノエルが言うには、スケルトン軍団など、稀にしか生まれないモンスターやモンスター集団からはドロップアイテムが良かったりするらしい。


「まぁ、私がいなかったらユイちゃんにとってはアンラッキーだったかな?」


 にこやかに笑うノエルに、「私一人なら即死もんじゃないですかぁ」と返し、アイテムを確認する。


 アイテムは主に骨や、魔石、武器なら錆びた鉄剣などが主に落ちていた。


「骨︙︙スケルトンからは余り良いものは落ちないんだね、まぁ、回復ポーションとか混じってるけど」


「まぁ、そろそろ初級ダンジョンから出よっか、ユイちゃんのHpも半分までは減ってるし、私もそろそろ学校の課題とかしないといけないから」


 ノエルは案を私が了承したのを確認してから外へ出るために階段の方へ歩き始めた。




 ――――試練の洞窟前――――


 あれから三十分程度歩いたり、戦ったりしながらもなんとか外に出てきた私達は少しの疲労と達成感を感じながら街に戻っていた。


「ユイちゃん、今日は楽しかった?」


「はい、とても楽しかったですし、一日でレベルが十三まで上がるなんて思いませんでしたし」


 狩りや初めて友達、ダンジョンなどを回り今日は濃い一日だったなと思いながら返答する。


「また、明日も一緒に遊ぼうね」


 ノエルの言葉に私は頷き返し、街に向かって足を動かすのだった。

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