第2話 初めての私の相棒
――――噴水前――――
視界のポリゴンが消えるとそこは一年前とは違う景色が広がり、視界にはHpバーや、Mpなど、最低限の物が映っていて、目の前の噴水には、長い髪を垂らした自分の姿が反射していた。
「おぉ、凄い!これが私か、体も動くし、やった!!」
両手を上げて喜んでいると周りの視線を集めたようで周りのプレイヤーがちらちらとこちらを変な目で見てくる。
「あ、あはは」
私は周りの視線に耐えられなくなり逃げるように街の奥の武器に行った。
『いやー、さっきは恥ずかしくて死んじゃうところだったよ』と、そんな事を呟きながら初期装備の一つの地図に記された武器屋に徒歩で移動する。
「武器はどうしようかな?まず、私は友達がいないから基本的にソロプレイになるからやっぱり片手直剣かな?」
「ちょっとそこの可愛いお姉さん俺と一緒にお茶しません?俺、美味しいケーキがある店知ってるんスよ、どうっすか?」
「いや、でもなぁ」
私も折角ファンタジーな世界に来たなら剣だけじゃなくて魔法も使いたいしなぁ。と、考えながら武器屋に足を運ぶ。
「ゲーム内だったらどれだけ食べても太りませんし大丈夫ッスよ、一緒にお茶しましょうよ?」
「剣も使いたいし魔法も使いたいしなぁ、うぅむ迷う」
「お姉さん?」
私は使う武器のことを考えていると後ろから声をかけられている事に気づき、一旦思考を切り替え後ろに振り返って声を掛ける。
「ん?何か私によう?」
男は一瞬固まってから氷に熱湯をかけた時のように喋りだす。
「可愛いお姉さん、俺と一緒に︙︙」
目の前の男が喋り喋り始めた頃、あっ!いたいたと、片手を振りながら近づいた来た女性は男性の後ろに来るや否や首に峰打ちを決め男を捕まえた。
「こいつがごめんね、可愛い子を見るとすぐに声をかけに行くやつだからさ迷惑かけちゃったかな?」
「いえ、そんなことはないんですけど︙︙その人は大丈夫なんです?」
ピクピクと痙攣する男を指さして聞くと女性はスキルで気絶させているだけだから大丈夫らしい。
「やば、もうこんな時間︙︙じゃあ私はそろそろ行くね、あと、私の名前はノエルそしてこっちが男がカインじゃあまたね」
ノエルと名乗った女性は両手でカインを引っ張り嵐のように去っていった。
嵐みたいな人だったなと思いながら私は武器屋に向かうのであった。
――――武器屋――――
「いらっしゃい!何をお求めですか?」
頭に眼鏡ゴーグルを付けた作業服を着た女性のNPCが元気よく挨拶した。
「すみません、片手直剣と魔法のどちらを使うかを迷ってるんですけど実際どっちの方が良いんです?」
未だに決まらない武器に関して女性のNPCに質問した。
「そうですね︙︙片手直剣なら自分自身で攻防ができるのがメリットですかね、しかし、遠距離からの攻撃やHpの減りと言うデメリットがあります、逆に魔法を使うなら高火力、で即座に敵を倒す事ができることがメリットです、しかし、近接戦闘ではかなり弱く簡単にやられてしまいますし、
もしよければこちらのレイピアや片手直剣などどうです?」
見せられたのは鉄製の片手直剣千Gと、鉄製のレイピア八百G、今、私の所持金千Gを使えば鉄の剣までは買えるが薬草など、回復系アイテムが買えなくなるので私は丁寧に断りを入れ、店の中を歩きながら見回し、私は部屋のかどにある樽の中に詰め込まれた片手直剣の中により一回り小さいレイピアではない剣と棚に置かれた回復系アイテムなどを見つけた。
「すみません、この剣って何Gですか?あと、ここ武器屋なのに回復アイテムが、あるんですね」
「そうなんですよ!武器を買うついでに回復アイテムを買ってもらえば店の収入になりますからね!
あと、その極細片手直剣なら九百Gで良いですよ」
「じゃあこの剣と、回復ポーション二つお願いします」
「はい!極細片手直剣と回復ポーション二つで、九百七十Gとなります!」
店員が言葉を言い終えると代金のウィンドウがでてきたので、私は迷わず手をかざし代金を支払う。
「毎度あり!またのご利用お待ちしてまーす!」
お決まりの店員の声を聞きながら私は武器屋を出る、買い物で三十Gまで減ったお金を見ながら初めての愛剣、極細片手直剣を装備しながら呟く。
「これからよろしくね、相棒!」
私は自由に動く体をのんびり動かしながら、街の外に狩りに出かけた。
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