それが愛だとか恋だとか瑠璃だとか

るりさんとの出会いはあるコミュニティがきっかけだった。友達の紹介で行った手芸か、なんか忘れてしまったけどものづくりの会だった気がする。そこから何度か通ううちにお話するようになって、ランチ行ったりする仲になった。私よりもずっと大人なるりさんといると心が和むんだ。

いつからかこれは憧憬というより、恋愛感情に近いのではないかと自分自身に疑念が湧いた。だけどそれを認めたくなくて時々負のループに陥りそうになる。今までだって何人かの男性とお付き合いしてきたし、自分が同性に恋するなんてありえない。バイセクシャルも否定はしないけど、私は普通ですと言いたくて。そもそも何を持って普通というのか、一般的な家庭で育った私には、俗に言う普通が普通だから、同性を好きになるだとかそう言うのは「ちょっと変わってる人」で「所謂普通」というのは異性を好きになるものだと思っているのだ。これはマイノリティを否定するとかではなくて、「私はそうじゃない」それが良いとか悪いとかではなくて、るりさんにたいして恋をしているのではないかと自分自身に疑う自分にそうじゃないと言い聞かせている所以である。





るりさんって仕事が出来て、プライベートも友達が多くて、優しくて面倒見の良い、ちょっと年上のお姉さん。ぼわっとしていると肩を叩かれてハッとする。

「杉野部長!」肩を叩いた相手の名前を呼びながらしゃんと姿勢を直す。

「今日はおデートですか〜?ボケッとして」と少し戯けたトーンで言いつつ続けて「シャキッとしなさい」とトーンを低めて私に注意を促す。優しさと厳しさの2面性に、飴を与えられながら鞭を打たれているとはまさにこの事といつも思う。

そうだ仕事中だ、シャキッとせい自分。と自分に言い聞かせながらるりさんはこんな事ないんだろうなと少し思案している間に部長は席に戻っていたのを横目に見ていた。

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愛されて愛されたい愛したい うえはし燈 @akariuehashi

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