第26話 まさかの出来事
中間テストも終わり、ようやく一息つけると思った矢先のこと。
とつぜんこんな噂を耳にした噂を耳にした。
あの古賀斗真と女性が正門前で言い争っているとのことだった。
俺はどーせ、付き合ってもない女の子が勘違いして浮気だとか言って怒ってるんだろ……と半信半疑で正門へ向かった。
すると、その光景を見た時、俺の心臓はなぜかドクドクと強く鳴っていた。
正門で言い争っている女の子は絵馬だった。
斗真の彼女として結構な付き合いの幼馴染だったのだ。
興奮している絵馬の声が聞こえてくる。
「どうして、わかってくれないのっ?」
「絵馬がボクのことを信じていないだけで、なにもやましいことはないよ」
「それが私には嫌なの……」
「なんで? ていうか最近面倒くさいよ絵馬」
その言葉を言った時にはもう遅かった。
絵馬は斗真の頬を叩いていた。
「――――ッ、サイッテー!!」
「いててて……」
取り巻きの女子たちが、斗真の頬を見て慰めている。
「絵馬、ボク達どこで間違ったんだろうね」
「え……あ、ご、ごめん……今のはその」
「ボク達さ」
「やめて、言わないで……お願い」
あ、これはダメな奴だ。
弟だからこそ、身近にいた人物だからこそ、斗真がこういう時に取る選択は一つしかない。
「別れよう」
「う、うそ……」
斗真は泣き崩れる絵馬を横目に、正門を通り過ぎていく。
取り巻きの女子たちは斗真がフリーになって大喜び。
取り巻きの女子たちだけでなく、そのほかの女子までキャーキャーと言っている。
俺はその状況を見て見ぬふりはできずに、絵馬を立ち上がらせ、家まで送る。
まぁ、ほとんどおんぶみたいなものだった。
絵馬が歩いたのは家に着く200メートル前くらいからだ。
「なにがあったんだよ」
「なにって」
「言いたくないならいいけど」
「……浮気してるんじゃないのって聞いたら、拗れてああなった」
なるほどな……。
人気者の彼氏を持つと一見、幸せそうにみえるが本当は苦労の方が多い。
「アイツが浮気ねぇ……でも確かに男といるところをあまりみない」
「でしょ、友達からそれを聞いて問い詰めてたら……」
「熱くなってああなったと」
「そういうこと、あぁどうしよ」
絵馬はさっきまで泣いていたため、目の近くが赤く腫れている。
「まぁ、一旦お互いが落ち着くまで無理なんじゃない?」
「でも、こんな終わり方後味悪すぎ……」
「仕方ねぇよ」
そんなありきたりな言葉しかかけてやれない。
俺はあいつと違って、女の子の絡みが瀬川か矢島か絵馬くらいしかないから大目に見てくれと思う。
「せめてあと一回、話合いできたらな」
「できるだろ、アイツが頭冷やせば」
「できると思う? お兄ちゃん的に」
「……わるい、やっぱり今の言葉取り消しで」
俺がそういうと、絵馬は苦笑いしながら頷く。
「無理だよね、斗真をよく知ってる人ならわかる、こういう時の斗真は関わらずに放っておく」
「そうだな……」
「――――こういうところは兄弟なのかもね」
「なんか言った?」
何か小さく呟いたように聞こえたため確認すると頭を横に振っていた。
「ダメを承知でお願いしてもいい?」
「なんだよ」
「斗真のもう一度、話し合いをさせてほしいって頼んで」
「おいおい、アイツは俺のこと嫌いなんだぞ」
「わかってる、でもだからこそ」
その意味が良くわからないが、斗真を一番に思ってきた絵馬のことを考えるとどうにも協力したくなる。
俺はしぶしぶだが、協力することに決めた。
条件で失敗しても文句ナシと言ったところ、当たり前と返ってきた。
俺は斗真を説得することに決めた。
あとがき
読者の皆さんお久しぶりです楠木です。
前の26話なんですが、一旦保留という事で、ちがうエピソードを先にやることにしました。情報量も多くなるし、人物を増やすとそれに費やす話数が多くなってしまうので…………。私にモチベーションがあれば前の話も復活させようかなと思っています。はい、ところで、エピソードの更新遅れてしまい本当に申し訳ありません。話のストックもなく、忙しいという理由で書いてませんでした。読者の皆さん離れないで……。今日から更新再開しようと思いますので、ブクマとか星、レビューお願いします、私のモチベーションを高めることができるのは読者様だけです。長々と申し訳ありません。
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