第4-6話 【城の主】の正体
『――城を
振り下ろされた真紅の巨刃は轟音と共に魔族都市の白亜の城に直撃した。
「この前の
炎の仮面冒険者の視線の先には城の上部にあった尖塔や正面から左部分の大半の白亜の壁を失った城。
圧倒的な真紅の一撃にコメント欄も爆発する。
:おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!
:すっげえ!!城の一部が吹き飛んだw
:やべえぇぇぇwww
:Q.どうやってダンジョンの城エリアを踏破しますか? A.城ごと破壊します
:こんなん出来るの日本でコイツしかいないww
:美女精霊剣士様、素敵ですわぁぁ
:なんか女性視聴者も混じってるな
「焔撃がちょっと左に寄ったのはなんで?」
『――右に【魔族】とは異なる気配を感じたからよ』
「もしかして獣人が捕まってる?」
『――そうかもね。それに見て』
左部分の城壁を剥がされた白亜の城が振動する。
:おいおいなんだあれ?
:城からグロいの出てきたぁぁぁぁぁぁ!!!
:なにあのでっけぇワーム!!
城からが飛び出てきたのは左部分を失った禍々しい漆黒の
よく見れば、細長い体の半分を失った巨大な漆黒の蠕虫の中に城の装飾や通路、部屋らしきものまで視認出来た。
「あれは……城の入り口があのワームの口だった訳か」
『――あの魔檻に閉じ込められてしまったらワタシでも厳しかったかもしれないわね』
城に侵入してもすぐには魔物の体内とは気づかない
「でも城の中にあれだけ巨大な魔物を飼うなんて不可能だろ?暴れられたら城が壊れる」
『――そうね。だから【魔族】たちが瘴気を凝縮して創り上げた瘴気魔獣とでも表現するべきかしら?』
「瘴気魔獣か」
あれだけ巨大な瘴気魔獣を創り上げるのに数千体もの【魔族】たちの瘴気を集めたのだろう。
城の壁が溶け落ちて内部が見れるようになった事で城にいる【魔族】たちが漆黒の蠕虫へ自身の瘴気を送っている光景も視認できた。
城への強襲を察知した【魔族】が漆黒の蠕虫に襲撃者を駆逐しろと命じる。
:おいおい。城をぶっ壊しながら襲い掛かってくるぞ。
:ヤバいヤバい
:美女精霊様逃げて―!!
「もう一発イケる?」
『――愚問ね』
左半分を奪われた悲鳴とも怨嗟ともとれる奇音を発しながら襲い掛かってくる
真紅の巨刃は轟音と共に漆黒の蠕虫の全てを溶かし、消滅させた。
白亜の城の左部分は更に壊滅的な状況となった。
:うお?うおおおおおおおおおおお!!!!
:あの芋虫みたいなの倒したぞおおおぉぉ!!!!
:なんなのこれ?これ現実なの?
コメント欄も非現実的すぎる光景に夢でも見てるのか?と混乱してしまう。
対照的に【魔族】たちは自分たちの総力を結集した瘴気魔獣が敗れ、眼前の光景に絶望し、城の奥の何処かへと逃げ出し始める。
【魔族】たちが戦意を喪失した直後――。
『――来るわよ』
「来るって?」
炎の仮面冒険者も何が来るのか理解した。
――【城の主】だ。
「どうすればいい?」
『――とりあえず気を強く持って。それとワカナの事を常に頭に入れておく事』
イマイチ意図が分からないアドバイスだったが素直に従う炎。
昨夜の事を思い出すと少し頬が紅くなってしまう。
左半分をほぼ失った白亜の城は突如、桃紫色に包まれる。
:おいおい。なんだあれ?
:瘴気とも違う何が溢れ出してきてるぞ
:なんかえっちぃ気がするのは俺だけか?
:うん。お前だけだな
桃紫色に包まれた城から戦意を喪ったはずの【魔族】たちが再び焔霊剣皇イルフェノの前に立ち塞がる。
一度敗走したはずの【魔族】たちの心変わりに炎の仮面冒険者も戸惑う。
「なんで?それになんか表情がおかしい?」
『――【魅了】状態のようね。それがここの主の得意技かしら?貴方も魅了されないでね』
恍惚とした表情を浮かべる【魔族】たちを盾にするかのように半壊した白亜の城から現れたのは――。
桃色の髪に妖艶な美貌、背には翼、豊満な肢体を僅かな布を隠しているだけで、下腹部の謎の刻印まで見えてしまう女性的な【魔族】だった。
まさかの存在の登場にコメント欄が爆発する。
:とうとうサキュバスきたーーーーー!!!
:えっろ!えっろぉ!!!
:この配信やっぱり夢なんじゃね?
:【城の主】はサキュバスでしたとかそんな事ある?
:フロアボスがエッチなお姉さんとか俺、明日から冒険者になるわ
:死ぬなよ?
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】男性視聴者の皆さんが盛り上がっているところ大変申し訳ないのですが、登場した魔物が性的コンテンツとしてダンジョン配信チャンネルのガイドライン違反の可能性が出てきた為、一時配信を中断させていただきます。
女夢魔・サキュバスのあまり
:え?ここで配信中断?
:そんな御無体な……
:ここで中断はやめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
:炎の仮面冒険者とサキュバスの決闘だぞ?後世に残すべき、人類皆が凝視すべきビッグデュエルだろ!!
:真面目に語るヤツほどエロ目的っぽく感じるの大草原
配信視聴者たちの画面が『しばらくお待ちください。』という映像に切り替わってしまった。
:ああああああああああああああああああああ!!!!
:血の涙ドバドバ
:麗水ちゃんの鬼ぃぃぃぃぃぃ!!!
:これだから男って
コメント欄は男性視聴者達の阿鼻叫喚な断末魔の叫びとそれに対する女性視聴者の軽蔑的コメントで爆速となった。
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※120層ではまだ魔王的な存在は出てきません。
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