第3-16話 クラン【炎麗黒猫】の拠点紹介
はじめまして。ボクの名前は麗水・レオメル・海咲。
防衛省ダンジョン対策支部局開発班に所属している天才開発者だよー。
前回のクラン会議でどうやらボクの挙動で和奏と炎さんの関係に気づいたクランメンバーの人がいたみたいで【会議出禁】を宣告されたよ。
一生の不覚……
海外からのサイバーテロだって撃退した事もあるボクが
科学よりも恋愛の方がよっぽど難解で厄介だよぉ。
だからボクは今までその話題を避け続けて生きてきたのかもしれない。
でも炎さんと和奏がもし結婚して家庭を築いていくとしてボクだけ一生独身?もう3DAIの結婚相手創る?
いやAIと結婚だなんて……深く考えると麗水CPUが
とにかく今【炎さんと和奏とボク】が3人揃うのは
和奏が不在の時だけクラン【炎麗黒猫】の新拠点に入れてもらえるんだって。
原宿ダンジョンの51層から70層がクランの拠点として魔改造されて、その拠点スペースに入るには悪意ある第三者を弾く為の精霊認証をパスする必要がある。
51層のクランエントランスロビーで火の精霊を触るという
既に火精霊と契約しているクランメンバーの人達はフリーパス。
うーん。炎さん。ボクにも精霊ちゃんと契約させてくれないかな?
え?その精霊ちゃんを実験材料にしそう?
どうしよう否定できない。
こ、これがボクが精霊ちゃんと契約できない理由!?
あれ?客観的に見ると初めて自分が
まあホントにヤバいヤツだったらこのクランのエントランス抜けれてないから気にしなーい。
エントランスロビーを抜ければ、クランメンバーの冒険者さん達の気合が入った声が聞こえてくる。
広々とした空間で冒険者同士の模擬戦をやっていて、対人戦闘能力を向上させる自主訓練中みたい。うーん。体育会系。
しかも模擬戦をしている冒険者さん達が振るっているのはなんと【精霊剣】。
相手を傷つける事無く当たり判定をしてくれるんだって。精霊凄いッ!
原宿ダンジョン51-55層はクラン【炎麗黒猫】に所属する冒険者さん達のトレーニングスペース。模擬戦や精霊魔法の向上を目指す場所。
原宿ダンジョン56-65層はクランメンバーのパーソナルスペースに。
このクランは男性組の【炎麗黒猫・
炎さんの活躍で更にクランメンバーの数が実は増えてるらしい。下手したら10万人いくかもしれないんだとか。ひえー。
まあでも大半はダンジョンに潜る事のない少年少女みたいだけど。
66-69層は企業秘密みたい。精霊関係の空間とだけボクは伝えられた。うぅ。気になる!
【精霊が視えるスコープ】もあとひとつ何か掴めれば完成する気がするんだよねぇ。
土魔法によるエスカレーターを10往復して原宿ダンジョン70層にあるクランマスタールームへボクは辿り着く。
ノックして扉を開ける。
「炎さんいますかー?」
マスタールームには大量のモニターが設置されており、ヴァーチャルライバーの配信画面や配信冒険者の映像が流れていた。
そしてワークチェアに座っているのは炎さん。あれは聖徳太子の姿!?
その姿になれば配信画面全て同時チェック出来るようになる特殊能力が発動するとかそんなわけないでしょ。
しかも聖徳太子がヘッドフォンしてる。聖徳太子だって落ち着いて音楽とか聴きたいんだね。
うん。相変わらず意味不明。無駄な事象の極致。多分ボク向けのサービス。
そんな炎さんを見ると自然と笑みが零れちゃう。
以前のボクなら本当に3DAIと結婚でもいっかって思ってたんだけどね。
面白い人もいるんだなって好奇心を刺激してくれる人。
あれ?もしかして配信に夢中でまだボクに気づいてない?仕方ないので大声を出す。
「炎さん。麗水ちゃんが来ましたよー!!!」
その声にビクッとした炎さんがボクを見る。
「ああ。麗水ちゃんだ。ごめんね。来てもらって」
「いえいえ。それにこの70層には防衛省ダンジョン対策支部【魔族侵攻対策班】の拠点を置かせてもらってますので」
「そこはすぐにお互い連携を図れるようにしておいた方がいいだろうしね」
「そうですね」
炎さんの部屋のそばに防衛省の拠点を配置させて貰えたことがどれだけ防衛省の人間を安心させてくれているのかわかってないんだろうなぁ。
「麗水ちゃんも既に聞いてるよね?【魔族】が配信冒険者の配信機材や撮影ドローン、タブレットPCだけ奪って消えたって話」
「はい。あれは一体どういう事なんでしょう?」
「自分達のテリトリーに新しく現れた存在を知る為の情報収集の一環なのかな?」
「【魔族】が配信を見たりするって事ですか?」
にわかには信じ難い話だけど【魔族】が配信を見たりするところをイメージしてみた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
魔族A「なんだあの炎の塊は?」
魔族B「アイツやべーよ!同種達がヤられちまってる!!」
魔族C「オイ!あの炎の塊に周囲に浮かんでた丸い物体や他にも魔導具らしきものを人族から奪ってきたぞ!!」
魔族A「でかした!これであの炎の塊がなんなんなのかわかるな!」
魔族B「どうやって使うんだこれ?」
魔族C「適当にいじったらなんか映像が流れ始めたぞ」
魔族A「あの炎の塊が闘っているところが映ってるな。なんでいつもあんな奇怪な姿(冷蔵庫、ベビーカー)なんだ?意味が分からん」
魔族B「黒竜瞬殺してんじゃん。アイツやべーよ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ブフゥ!!!!」
「麗水ちゃんどうした?」
「あ。いえ。つい【魔族】が炎さんの戦闘スタイルを真剣に研究している姿を想像したらつい……」
吹き出しちゃった。
この人の傍にいるとホント楽しい。
「麗水ちゃんも聞いてると思うけど【魔族】が地上に侵攻したくなるような情報は与えたくない」
「そうですね。その配信冒険者さんの端末識別情報を調べてアクセスしてみましょう。情報操作ならボクにお任せあれ!!」
魔族が手に入れたタブレットPCは【麗水海咲厳選!仮面冒険者――炎、おもしろダンジョン踏破ダイジェスト集】だけ閲覧可能にしちゃお。
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【ツッコミの嵐】という略称が読者様からツッコミの嵐でした。他の略称は【
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