第2‐10話 これを攻略法にされても困りますチャンネル

「――こんな感じでSS級魔物には魔核が最低3つ。平均で5つ。多いときは10以上あるのでそれを頭に入れながら戦って下さい」



遠隔操作撮影ドローンに向かってそう解説しているのは炎の猫だった。



雷で形作られた嗚桜真月はもう消えている。



「魔核の数は魔物により個体差があるので決して『5個潰したんだからもう大丈夫』みたいな思い込みは厳禁です。さっき見ていただいたように魔物の足だけ残ってる状態になっても足部分に魔核があればそこから全再生も可能なので」



一見まあまあまともに見える?炎の仮面冒険者によるSS級魔物解体講座なのだがそこに至るまでの過程にコメント欄の視聴者たちはドン引きしていた。




:……

:……

:……

:……

:……

:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】……

:【嗚桜真月】……

:【鳳薫琥】こんな冒険者おるんやなぁ……ちょっと信じられへん




:皆言葉を失ってるが俺が今起きた事をありのままに話すゼッ!!ほわんほわんほわんほわ~ん




    ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



≪炎「96層は基本魔物少ないかな。100個体いるかどうかですね」≫


:残り少なくなったSS級魔物達が仮面冒険者を見て逃げ出し始めたんだが

:魔物って殺戮衝動のままに襲い掛かってくるもんじゃないの?

:自分より強い魔物にはビビッて逃げ出すって話は聞く

:スタンピードの原因のひとつだよな。ドラゴンとかがいたら他の魔物が上層へ避難してくるってヤツ

:仮面冒険者さん魔物から魔物扱いされる

:炎の精霊にビビってるんだよ多分……




≪炎「この溶岩エリアは溶岩沼の中に結構魔物が潜んでるんですよ。ラーヴァスライムやラーヴァフロッグとか」≫



:すると炎の掃除機が登場します

:なんとその掃除機、沼の溶岩を吸い取り始めます

:沼の溶岩、全部抜いてみました

:昔そんなテレビ番組あったらしいな。池の水だけど




≪炎「吸い取った溶岩を捨てる場所ですが池袋ダンジョンの97層って氷雪エリアなんですよ。だから一回そっちに行きますね」≫



:突然の97層移動

:【速報】池袋ダンジョン97層は氷雪エリア

:めっちゃ吹雪いてるじゃん

:なんか凄く強そうな氷のSS級魔物がいたけど捨てられたマグマに飲み込まれて溶けてたぞ

:溶岩だけ捨てたらすぐ戻るんだな


:【朗報】池袋97層さん命拾い



≪炎「これは溶岩エリアと氷雪エリアが隣接している池袋ダンジョンならではの攻略法と言えますね」≫



:普通の冒険者は溶岩運べないからね?

:この人やっぱりわざとやってるの?

:並大抵の冒険者には無理だぞって暗に伝えたいんかね?

:元々【これを攻略法にされても困りますチャンネル】なんだからチャンネルタイトルに偽りなしだぞ

:8大クランマスターへの挑戦状にも思える


:【鳳薫琥】……京都のダンジョンがどうなってるかも知りたいわぁ

:【嗚桜真月】……ノーコメントで



≪炎「火の精霊使いだとしても溶岩を吸い取って平気なの?ですか?まあ俺が契約した精霊は元々火山で出逢ったんで。あ。ちなみに阿蘇山です」≫



:突然出てきた阿蘇山というワード

:【新事実発覚】炎の仮面冒険者を生んだのは阿蘇山

:こんなん阿蘇山が聖地化するに決まってるじゃん

:熊本歓喜

:でもたしか阿蘇山もダンジョン化してなかった?




   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




:以上がこれまでの経緯だゼッ!!どうだい?ぶっ飛んでるだろぉ~??





:溶岩エリアから溶岩がなくなるってどういう事よ?

:【悲報】池袋96層さん、魔物も溶岩も全て失う

:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】あははは……



「えーと。あのですね。96層から魔物がいなくなったので本日の96層攻略配信はここで終了させていただきます」




:でしょうねッ!

:でしょうね!!!!

:でしょうねッ!!

:でしょうねッ!!!

:でしょうねッ!!!!!!

:でしょうね!!

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