第2-9話 リクエストタイム
「なので『フリーザー様タイム』は終了です。視聴者さんたちは俺に何かやってもらいたい変身はありますか?」
:まさかのリクエストタイム
:え?俺達の希望に応えてくれんの?
:氷でだろ?なんだ?
:かき氷とか?
:『氷が氷らしく』は多分却下されるぞ
:とんち大喜利大会かよ
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】炎さんこれといった面白回答がないので先に進めてもらって構いません
:麗水(よす)ちゃん辛辣ぅ……
:普通の配信ならともかく大喜利力が試されるダンジョン配信てなんなん?
「あ?そうなの?」
:≪¥10,000,000≫【嗚桜真月】変身のリクエストじゃないんだが丸飲み以外の他の冒険者が参考になりそうな倒し方を見せてくれないか?
:ちょw今度は一千万スパチャww
:流石に億スパじゃないのか
:麗水(よす)ちゃんから
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】炎さん、太客様から他の冒険者の参考になりそうな戦い方を見せて欲しいそうです
:東京のレジェンドを太客扱いw
:いやこの仮面冒険者に『他の冒険者の参考になりそうな戦い方』ができるの?
:逆に難しいテーマだな
「じゃあ【嗚桜真月が96層に来たら~】を意識してこれから配信していこうと思います」
すると氷の冷蔵庫姿だった仮面冒険者は忽然と姿を消し、その次に顕れたのは――。
――髪をオールバックに纏めた精悍な顔貌。そして逞しい肉体。その背には黄金色の大槍。その全身に
:【嗚桜真月】オレかよ……
:【速報】仮面冒険者炎、雷属性もいける
:動物や家電、企業名だけじゃなく特定の人間にも擬態できるのか
:人間に擬態といっても全身金ピカなんだが
:雷人間かよ
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】炎さん、ホントやば
「じゃあこの姿で96層の魔物を討伐していこうと思います」
「まずは
仮面冒険者の気配に気づいた溶岩巨狼は咆哮と共に襲い掛かる。
獲物を噛み千切ろうと開いた大口に対し、仮面冒険者はその雷槍を振りかぶる。
「喰らえッ!!嗚桜槍投げッ!!!」
:嗚桜槍投げッ!て何?
:【天譴】の必殺技知らないんじゃね?
:※そもそも槍使いは槍投げません
:仮面冒険者が槍の素人なのはわかった
:元々ただの社畜だった人だから武器の使い方知らないんだろうな
:【精霊術師】だもんな
雷槍は溶岩巨狼の体躯に大穴を開けた。だがまともに動けない状態ではあるが狼はまだ死んではいなかった。
瀕死の溶岩巨狼は自ら溶岩の沼へ飛び込む。
:自分から溶岩に飛び込んだぞ
:これってもしかして……
溶岩の沼から現れたのは雷槍の一撃を喰らう前とほぼ変わらない姿のラーヴァウルフだった。
「とまぁこんな風に確実に魔核を破壊しないと元通りになっちゃいますんで冒険者の方は気をつけて下さい」
:完全にトドメ刺さないと復活するのかよ
:だから冷蔵庫で丸飲みして氷漬けにして動けなくしたのか
:とんでもない事実発覚じゃん
:≪¥100,000,000≫【
:またもや億スパ!!!
:京都最強冒険者きてるじゃん
:もしかして国内8大クランマスター全員この配信見てる?
:【嗚桜真月】鳳……久しぶりだな
:【鳳薫琥】ひさしぶりやねぇ嗚桜はん。いつの間にあんな金ピカになってしまいはったん?w
:【嗚桜真月】いやアレは俺じゃなくて
:分かってていじってるなw
:むしろイジりたくて登場したまであるww
:弄る為に1億払う女
:www
:8大クランマスター同士の会話ってこんなカンジなのか?
「嗚桜パンチ!!嗚桜キック!!」
:他の8大クランマスターが見てる状況で嗚桜パンチ嗚桜キックはキツすぎるw
:【嗚桜真月】頼むからそれやめてくれ……
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】炎さん、どうやらリクエストタイムという試みは失敗のようです。嗚桜さんの戦闘スタイルとは乖離しすぎてますし、嗚桜さんが物凄い恥ずかしい思いをしてしまっています。
「そうなんだ。そんなつもりじゃなかったんだけどごめんなさい。なので中途半端な誰かの真似はやめようと思います」
:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】いえ新しい事を始めれば誰しも最初は失敗します。そこからどう修正していくかが研究開発の基本です。ボク達は嗚桜さんの犠牲を無駄にせずより良い配信にしていかないといけません。
:【嗚桜真月】オレの事尊い犠牲みたいに語って良い話にしようとしないでくれるか?
:【鳳薫琥】ほんまに楽しい配信やねぇw
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