第2-7話 96層攻略配信

炎の仮面冒険者によるダンジョン配信チャンネル【炎麗黒猫のマスターですがこれを攻略法にされても困りますチャンネル】の開設が発表された。


チャンネル登録者数は瞬く間に300万人を突破した。



そして今日政府依頼として【池袋96層攻略配信】をライブ配信する事に。





:いやー待ちに待った、仮面冒険者配信の日

:ダンジョン配信して欲しいですって凸ったのも効果あったのかな?

:どうなんだろな?

:このチャンネルもう収益化してるの?




:【防衛省の天才開発者、麗水(よす)ちゃん】ふふふ。皆さん初めまして。

:誰?

:防衛省の人間なのか?

:自分で天才開発者って言ってるぞ

:なんかクセ強なヤツきたな

:この前の防衛省職員さんはどこに?



:【防衛省の天才開発者、麗水(よす)ちゃん】ああ。あの職員の人は本人の希望通り、休暇をもらってるよ

:ヒエ……

:やっぱり処分されたのか

:どこへ左遷されてしまったの?



:【防衛省の天才開発者、麗水(よす)ちゃん】いやそういう『おやすみ』じゃなくてダンジョン100層踏破祝いで防衛省の職員皆、それぞれのタイミングで長期休暇をもらえる事になったんだ。

:あの職員さんの願い、叶ったんか

:それはめでたい

:政府も捨てたもんじゃないな



:【防衛省の天才開発者、麗水(よす)ちゃん】これからこのチャンネルのモデレーターをやる事になった防衛省ダンジョン対策支部局開発班の麗水です。最近の発明品はあの瘴気感知のスコープです。

:あれ作った人なの?

:割とマジで天才だった

:あれ取り入れて95層踏破した8大クランも出てきてるらしいな

:【炎麗黒猫】がネタクランすぎて【国内8大クラン】という呼称変わらなかったの草




:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】ボクの実績を認めてもらえたみたいんで名前も簡潔に。ちなみに桂城和奏とはほぼ同期の親友ポジでっす

:なん……だと……

:まさか彼氏?



:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】いやボク、女だし

:なんでボクなのよ?


:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】理工学部の男子学生の中にずっといたら自然とそうなったかな

:ちゃんと背景はあるのね



:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】じゃあ収益化について気になる人がいたようなので説明。スパチャ出来ます。ただし上限ひとり1万円まで。連投スパチャは不可です

:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】このチャンネルでの収益は全て【炎麗黒猫】に加入した少年少女の為の奨学金基金へプールされます。お財布に余裕ある人はスパチャしてね


:≪¥1,000≫ スパチャ出来てる?

:出来てるな

:≪¥10,000≫ これは原宿そして東京を救ってくれたお礼です

:おお。赤スパ



これからしばらくそれぞれ思いのたけ語りながらの投げ銭タイムが続いた。



:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】それじゃあそろそろ主役に登場してもらいましょ。池袋96層にいる炎さんですどうぞー!!


:いよいよ配信開始か

:まず初手は炎のガスコンロよ

:それは間違いないw



待機中だった画面が切り替わり、そこに映っているのは――。





――『株式会社 羽呂馬』の炎文字だった。




:企業名できたw

:炎の仮面冒険者、企業名にも変身できる



「配信をご覧の皆さんこんにちは、今日は池袋96層がどんなエリアなのか紹介したいと思います」



:企業名姿のまま本篇始まる感じ?

:景色映ってるけど96層って溶岩エリアなの?

:マグマの影響で完全に真っ暗じゃないんだな



:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】視聴者さんから全てのダンジョンで96層は溶岩エリアなのか?って質問がきてます



「いや96-99の4層の何処かが溶岩エリアだね。東京のダンジョンに限った話だけど」



:麗水(よす)ちゃんが俺らの質問拾って炎が回答してくれるのか

:今までにないスタイルだな

:これが専用チャンネルか




「当然溶岩エリアの魔物は通常の魔物よりも火属性に強い耐性があります。火属性攻撃でも討伐出来ない事はないですが必要以上に魔力を消費してしまいます」



:まあテンプレの解説よね

:でもあの真紅の剣でスパッと一刀両断できるんでしょ?

:それだと他の冒険者には無理じゃね?

:だから【これを攻略法にされても困りますチャンネル】なんだろ



「なので今日は――」



企業名の炎文字は消えた後、画面に現れたのは――。



:嘘?

:待って待って

:マジ?

:そのパターンは予想してなかった

:【防衛省の麗水(よす)ちゃん】うっそー





――氷の冷蔵庫だった。




______________________________________


小説タイトルすら投げ捨てていくスタイル。

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