きず

ゆきのともしび

きず


ほら


今日もどうでもいいことばにかすり傷を負い


傷を小雨のように浴びて 全身から血を流している


ただその血は

どうやら多くの人間には見えないらしい



傷のいたみに鈍麻しているのか


小雨が当たり前になり 情景が鮮明にみえなくなってしまっているのか


僕にはわからない



僕は無数のかすり傷の手当をしてあげたいと思うが まだ彼らに近づくことができない



彼らは多量の血とともに

身体から夥しい数の針を 纏っているからだ


まるで僕に 近づくなとでもいうように




ひとりの少女が 道の端でうずくまっている


身体から血が流れている

針は少ない


僕は彼女に近づく


「この世界がくるしくて こわい」


僕は少女の背中に 手を当てる


からだは少し冷えていて

とてもかたい

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きず ゆきのともしび @yukinokodayo

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