第2話 Part.4


「なら、俺も協力しなきゃ。差別されるなんて馬鹿げてるし、面倒くさい」


 二人はエレベーターに乗り込む。

 范睿は鼻で笑いながら、一階のボタンを押した。


「逆に足手まといになるかもしれないな。お前は“殺人犯”なんだから」

「安心して。俺は強いし、逆に心強くなるはずだ。俺を仲間にしたこと絶対、後悔させない」


 エレベーターの扉が開く。

 范睿は「どうかな〜」と呟き、口笛を吹きながら警察署から出る。

 徐懍はとりあえず、家に帰ろうと范睿と真逆の方向に行こうとした。しかし、足を一歩踏み出す前、体の方向を変えた瞬間、「おい!」という声とともに范睿に腕を掴まれた。

 

「どこ行くんだよ」

「どこって家だけど……」


 范睿は限界まで息を吸い込み、大きな音を立ててため息をついた。


「お前の家はこっち!今日から俺と住むんだよ」

「俺と住む……………俺とあなたが?!」


 徐懍は范睿の言ったことを理解した瞬間、瞳孔が大きく開き、口があんぐりと開く。彼の綺麗な顔に全く似合わない、間抜けな姿だった。


「安心しろ。生活費はお前の給料からひくし、荷物も取りに行ってやる。とりあえずこっち来い。今日は忙しいんだ」


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