第5話 真偽
──4時間目も終わり、昼休みに入る。いつも通りに遊星と作戦会議を行っている途中、
「おい、お前ちょっとツラ貸せ。」
仲良くなった成果かそれともストーカー認定されてしまったか。口調からして後者の方が可能性が高い。言われるがまま蒼さんについて行き、屋上に着く。
雲ひとつ無いきれいな青空が広がる今日。ただならない雰囲気を出している蒼さん。
「──それで、今日はどうしたんですか?」
「分かってるだろ? 怪しいとは少し思ってたんだよ。」
ストーカーがバレだか!? このままでは信用も何もかもを失ってしまう……この恋は終わってしまう。
「お前、今日家とは反対側から来たよな? 本当は家そっち側なんじゃないのか?」
朝の事か……詰めが甘かっただろうか。まだごまかせないことは無いが──
「やっぱりお前って……茜のストーカーだろ?」
そこだけが違う。そこだけは訂正して欲しい。
「違う。いつもは友達と学校行きたいからちょっと遠回りしてるだけだ。茜さんのストーカーじゃない。」
「本当……?」
鋭い目付きでこちらを見据え審議を測ろうとする。真剣な眼差しで見つめられてる。
目が合ってる……!!
こんなに長い間見つめ合うのは初めてだ。
いつも顔逸らされるからあまり合わないけど……可愛いな〜蒼さんは。やっぱりこの低身長から見上げられるこの角度……!
真面目な話をしているのにも関わらず心の中の邪念がうるさ過ぎる。
もしここで信じて貰えず見放されれば一世一代の初恋が終わるというのにも関わらずこの心境。
「──なら、朝私を迎えに来いよ。本当か見定めてやる。」
という事は、一緒に登校できるってことか!? いや遠くない? 何時に家出ればいいんだよ!?
「友達迎えに行くより近いだろ? 7時50分ぐらいに居てくれたら8時25分ぐらいには学校に着く」
「良いよ。それで蒼さんが僕を信じてくれるなら簡単なことだしね」
「じゃあ明日朝待ってるからな」
***
「──は!? 朝蒼さんと登校することになった!?お前の恋は花開いたのか!?」
「違うまだまだ先は長いよ……」
あった事を遊星に教えると、変態だとかストーカーだとか罵られまくった。
「まぁ、何はともあれ良かったな。」
距離は縮めることは出来ると思う。迎えに行くだけで信用してくれるらしいし、何より話すことが出来る。強いて言うなら朝が大変なだけだ。
明日が楽しみだ。
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