軍事物語
染谷 式部
第1話敵軍目の前
私には、記憶がない。
生まれた時にはすでに爆撃音と銃声の音がそこら中に聞こえていた気がする。
しかし、私が12歳だった頃、戦況がかなり悪化し私たちが住んでいた町にまで兵士が現れるようになった。
そこからの記憶が一切なくなり気づいたときには戦場の最前線で戦う兵士になっていた。
「坂柳さん。敵軍がついにここまで進軍してきたそうです」
私の部下が日本地図の新潟県を指しながら言う。
「そうか...」
そこは、新潟県の海。ここを抜かれてしまうと国内に敵軍が進軍されてしまう。
そう考えていた時、別の声が聞こえる。
「よう! 芽衣。元気してるか?」
「何の用だ。今はこっちに忙しいというのに」
「まぁまぁ、硬いこと言わずに。なぁ坂柳 芽衣さん」
この、金髪のチャラそうな男は南雲 大樹。
なぜ、フルネームで呼ぶのかと少し疑問を持ったが、変なところを指摘して話が長くなるのは何としても避けたいと思った。
「だが、今はこちらの方が重要だ。敵軍は順調に我が軍の防衛線を突破されてしまっているからな」
そう、元は韓国に進軍し、朝鮮半島を植民地としたかったが、その戦争に中国が介入してきた。
そこからは、中国軍の邪魔もあったせいか中々良い戦果を出すことはできなかった。
「俺は、トイレに」
南雲はそう言い、私たちの部屋を出ていった。
その数日後、私たちの部隊は新潟へ送られることが決定した。
軍事物語 染谷 式部 @asaka223
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