第5話
「何か書けって言われても」
荊軻は悩んだ挙句に妻の瞳を
殺す小説を書いた。
数時間後に瞳は強盗に
ナイフで刺し殺された。
「そんな、ばかな、偶然だ」
荊軻は頭を抱えた。
1週間後、訪問客があった。
「運命変換伝道師、鏑木魔道」
と名刺には記されていた。
「この度はご不幸がおありになったようで。
お悔やみ申し上げます」
「どうも」
「どうやら、我が社のワープロを使って
小説をお書きになったようですね」
「アンタとこの製品か」
荊軻は堪えあがる怒りを抑えきれずに勢いよく
立ち上がった。
「どうかね、あの運命変換装置で世界の首脳たちと
五分に闘ってみないかね」
「世界の運命をオレがコントロールするのか」
荊軻が武者震いした。
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