第3話

貝が診察室をでていいった。

村雨が貝がいなくなったことを

確かめてケータイを取り出した。

「ああ、どうやら一人生贄を確保できそうだ。

死にかけのガキだがちようどいい。

リンチの用意をしておいてくれ」

村雨がケータイを切った。

「フッ、ゼウスさまもきっとお悦びになる」

村雨が貝の電子カルテに(生贄少女26号)

と添え書きを打ち込んだ。


「貝ちゃん、お食事は」

母親の聖歌が食事の進まない貝にむかって

食事を促そうとした。

「「貝ね、何にももう食べたくないの」

貝が食事を拒否した。

「どうして」

聖歌が訳をたずねた。

「だって、死ぬのに食事なんて必要ないもの」

「貝」

聖歌がピシャリと貝の頬を叩いた。

「テレビドラマみたい」

貝が頬を擦る。

「貝、わたしはオマエのためを思って」

「ママなんて大っ嫌い」

貝が布団をかぶった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る