第23話 天人唐草

 ごく一部の界隈?でイヌフグリと言う植物が話題みたいです。植物の果実が、犬の陰嚢に似ているからその名になりましたが・・・天人唐草との別名もあります。



 山岸凉子先生の短編作品に『天人唐草』があります。トラウマになるサイコホラー作品で、1979年に発表されたそうです。


 主人公の女性は子供の頃に「イヌフグリ」の花を見つけて友達から名前を教えて貰います。主人公が花の名前を口にすると、友達は「やだぁ!」と笑いながら逃げていく。

 家に帰って「どうして友達は笑ったの?」と両親にきます。母は「その花は天人唐草と言いなさい」としか言わない。友達が笑った理由は口を濁して教えてくれません。

「ねえ、どうしてイヌフグリは駄目なの?」

 次の瞬間、父が大声で怒り出します。

「女の子が、口にするんじゃない!」

 理由は何も説明されず、ただ「悪い事をしてしまったに違いない」と萎縮してしまう主人公。そんな家庭で「心を萎縮」させたまま身体だけ成長してゆく主人公が、現実とのギャップに遭遇して狂気の檻の中でしか心を解放する場所がなくなってしまう。


 トラウマを刻み込みたい方は、是非ご一読を。



 私が、個人的にもっとも恐怖を感じた短編は『恐怖の甘い物一家』です。

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