十四話
「あ、蓮人。ちょっといい?」
昼休み。
蓮人はレアに声をかけようと思い席を立とうとすると、名前を呼ばれる。
「お、おう。ちょうどいいところに」
そちらを向くと、そこにはちょうどレアがいた。
「なに?」
「いや、レアに訊きたいことがあったんだ」
「へぇ。何かしら」
「どうしてここにいるんだ?」
「ああ。私も、そのことを言おうとしてたの」
どうやらレアもその件について言いたかったらしい。
「まず一つは、<ベスティア>の駆除」
言いながら人差し指を立てる。
次に、と中指を立て言う。
「人間の友達も、欲しいし」
そう言って、少しほほ笑んだ。
「一番は<ベスティア>を倒すこと。家でも言ったけど、他の人に<ベスティア>が知られたらパニックになる」
「だよなー……」
以前ここに、<ベスティア>が出現したというのが、今でも夢だったんじゃないかというくらい実感がない。
また現れることがあるのだろうか、と疑問になってしまう。
まあでも、レアとフェアリーがここにいることは、別に嫌ではない。
もし<ベスティア>が出てきたら、二人が助けてくれると信じてる。
「とりあえずそういう事だから。じゃあ、私は食堂行ってくる」
「おう」
そう言ってレアは教室を出て行く。
「いてッ」
とその時。女子生徒と肩がぶつかった。
「あ、ごめん。大丈夫?」
「うん……」
ぶつかった生徒は玲華だった。
「……なに?」
「あ、いや、何でもない」
「…………ふん」
レアは少しイライラした雰囲気でその場を後にする。
「なーんか、あの子イライラしてるっぽいね」
「……あ?」
「だから、さっきの子だよ」
「……ああ」
と、弁当を開けようとした時に玲華が隣に座る。
「いつものことだよ」
「そうなんだ」
レアはいつもあんな感じである。ちょっとツンデレのような感じかもしれないが。
「一番レアを知ってるのはフェアリーだと思うけど」
「ああ、もう一人の妖精ね」
「うん」
弁当を開けて食べ進める。
「これ自分で作ってるの?」
「うん。他に誰が作るって言うんだよ」
「あー、そうだったね。ごめん。なんなら、私が作ってあげようか?」
「結構です」
ハッキリと断ってやった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます