第三章 ゲームが始まる
十三話
「私の名前はレア。よろしく」
「えっと……わ、私はフェアリーって言います。よ、よろしくお願いします……」
怪物が学校に現れてから、一週間が経った日。
蓮人はいつも通り学校に行き、ホームルームの時間を過ごしていたのだが。
「マジかよ……」
あり得ないことが、目の前では起きていた。
「は、はーい。自己紹介ありがとう。じゃあ……空いてる席に座ってね」
蓮人はその光景を見て、なぜか冷や汗が出ていた。
一番の疑問点は、なぜ彼女らが——フェアリーとレアが、この高校に転校生として入ってきたのかという事。
「…………」
……なぜか玲華がこちらを見ている気がする。
ふとそちらに視線を動かすと、やはりこちらを見ていた。
「……そうか」
見ている理由が分かったかもしれない。
たしか玲華はその二人のことを知っていた。それで、どうしてここにいるのか気になったのだろう。
いや、こちらもそれについては気になっている。
「以上でホームルームは終わります。何か連絡のある生徒はいますか?」
とりあえず、この後聞きに行った方がいいだろう。
「レア——っごほ!?」
「待って蓮人」
ホームルーム終了後、席を立ちレアに声をかけようとした瞬間、玲華が首を絞めてきた。
「おま、何やって……!」
「いいから落ち着いて。私も、聞きたいことがあるの」
「その前に手を放せ!」
「あの……玲華ちゃん?」
「……?あ、リリー」
なぜか首を絞められ、壁に追いやられる蓮人。
それを見ていた金髪少女リリーが玲花に声をかける。
「な、何してるの?」
「あ、これはその……ごめん」
そう言って玲華は手を放してくれた。
「はぁ……助かったよリリー」
「ううん。大丈夫ならいいんだけどさ。次移動教室だから忘れないでよ」
「ああ」
リリーはそう言って、教科書とノートを持って教室を出て行く。
「まったく……何してくれてんだバカ」
「だって前に言ったでしょ?気を付けた方がいいって」
「分かってるよ。……なあ教えてくれ。どうして、妖精の事を知ってるんだ?」
「…………」
蓮人がそう言うと、玲華は急に黙る。
「何黙ってんだよ。そんなに言えないことなのか?」
「……うん。前にも言ったでしょ。今は、まだその時じゃない」
「…………はぁ」
結局のところ玲華は答えてはくれないようだ。
玲華の過去に何があったのか、どうして妖精のことを知っているのか。
幼馴染とはいえ、こうしてみるとまだまだ知らない玲華がいるんだなって思った。
「あ、そろそろ時間だから行かないと」
そう言って自分の席から教科書とノートを取り出す。
「ほら、早く」
「分かってるよ」
その時間でフェアリーたちに訊くことはできなかった。
そうなると、昼休みが一番いいだろう。
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