第二章 Who are you guys?

六話

 ——頭が、痛い。


 そう思うも、身体は言うことを聞かない。

 まるで、何かに縛られているような感じ。


 ——頭が割れるような痛み。


 視界は、まだ真っ暗な闇の中。

 目を開こうとするも、こちらも言うことを聞かない。

 一体なんだっていうんだ。


 ——生きてるの?

 ——息はあるようだけど。


 誰かの話し声が聞こえる。

 けれど、話し声はそれっきり聞こえなくなった。


「……ん?」

 と、蓮人は目を覚ます。

「……俺の、部屋?」

 ぼやける視界の中確認できたのは、ここは自分の部屋だということだった。

 ……どうしてここに?どうやって家に帰ってきたのだろう?

 少女二人と男の戦いの後、どうやって家に戻ってきたのか記憶がない。

「ぃ……ッ」

 身を起こすと、酷い頭痛に襲われる。

 まるで頭をかち割られるような、そんな痛みが。

 それと同時に、黒い怪物の残骸や少女たちの戦いが鮮明に蘇る。

「……あれ?」

 視線を窓の方へやると、そこにはいつも通りの景色が映っていた。

 やや暗くなってきているものの、何の変哲もない日常がそこにはあった。

 少々おかしいな、と思いつつも、ベッドから降りて一階へと向かう。


「ええと薬は……これか」

 リビングの戸棚から、頭痛薬を取り出す。

 コップを手に取り、水道水を注いで薬を流し込む。

「はぁ……」

 なんとなく痛みが和らいだ気がした。

 薬を元の場所に戻し、なんとなしにソファに座る。

「あの……」

 と。

 背後から声をかけられた気がした。

 肩をビクリと震わせ、恐る恐る後ろを振り返る。

「君たちは……」

 そこにいたのは、あの男と戦っていた少女二人だった。

 見ると二人とも、服が所々破けていたりした。

「な、なんでここに……っ」

「ああ、別に怪しいもんじゃないから安心して。えっと……そう。あんたを助けたのが私たち」

 そうレアが言う。

「俺をここに運んでくれたのは……君たち?」

「ええ」

 なんというか、助かったようなそうじゃないような……。

 それより、どうして二人は蓮人の家の場所が分かったのだろう。

「私の名前はフェアリー。よろしくお願いします」

 そう言って、ペコリとお辞儀をした。

「ああ……俺は日暮蓮人。それで……君たちは一体何者なんだ?」

 最初に疑問を持ったのは、玲華と一緒に行ったファミレスだった。

 謎の黒い怪物に襲われそうになって、それをいとも簡単に殺した少女。

 そして——数時間前の戦い。

 現実離れしすぎた光景に、頭が追い付いていけなかった。

「…………」

 二人とも、少し顔を険しくして無言になる。

「君たちもそうだけど、あの男もなんなんだ?それに、黒い怪物だって——」

「え、怪物ですか?」

「そうだけど……」

「よく無事でしたね……?」

「私が助けたのよ」

「……レア、が?」

「ええ。どうしたの?」

「…………何でもない」

「とにかく、質問に答えてくれないか?」

「あぁ……」

 フェアリーが険しい表情のまま頭を掻く。

「……分かりましたよ。話したら、良いんですね?」

「ああ。このまま君たちが何者か分からないまま生活したくないし。もしかしたら、殺し屋かもしれないだろ?」

「それは無いわ。絶対に」

「……信用ならないんだけど」

「はいはい!では、少し長くなりますが話しますね」











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