第7話学歴コンプレックス(小池の場合)

今日も、あの人がお店に来てくれた。「いらしゃいませ」と私が

彼に言うと、彼も「どうも」と言葉を返してくれる。私は、彼の

声を聞くのが。とても幸せな事だと感じる。私は都内の有名な

大学に通っている。昔から、勉強をするのが好きで・・・・・・。

いや、勉強をしないといけない気がしたから。子供の頃から

私は勉強をするのが癖になっていた。特に、親にしつこく

言われた事はないけど。むしろ「たまにはお友達と遊んできたら?」

と言われる事が多かった。だけど、私は勉強をする。何の理由もなく

ただ、ひたすら勉強机に向かう毎日。同い年の子は、みんな好きな

アイドルやイケメン俳優の写真を机に飾っているけど。私の机には

辞書か、元素記号が書かれた奴しか。机には置いていなかった。

その結果、私は偏差値の高い大学に現役で合格した。将来の為ではなく。

ただの子供の時の思い込みで、勉強をしていたから。大学に入ると

自分が取ってある授業以外暇なので。人生初のバイトをする事にした。

それが、このカフェだ。特におしゃれな内装ではないけど。案外、私は

ここが気にっている。大学も遠いから。知っている人ともほとんど

出会わないし。本当に気分が晴れる。でも、私はつくづく思うよ。

「何で、私あの大学に入ったのかな?」特にやりたい事もないし

 このまま勉強だけをしていた。人生で終わるのかと思うと胸が痛い。

 私には学歴コンプレックスがある。有名大学に現役で入ったけど。

 結局の所。何の理由もなく。私は、大学に通っている。

 私は、自分の学歴が嫌いだ。そんな思いを感じている中。

 私がバイトをしている。カフェに、あの常連さんが来てくれる。

 「どうも」「いらしゃいませ」常連さんの名前は、河野さんって言う

 らしい。向かいの会社に勤めてていて。いつも、お昼には

 このカフェでお昼を食べる人だ。正直、ここより。もっと美味しい

 所があるのに。それでも、ほぼ毎日のように。このカフェで

 お昼を食べ。私が淹れる。コーヒーを美味しそうに飲んでくれる。

 実際は、店長が淹れているけど。それを私は、コップに注ぐだけ。

 それなのに、美味しそうに飲む。河野さんを見るのが、私は

 嬉しい。とある日の事である。今日は、バイトが休みだから。

 常連の河野さんには会えない。大学も、午前中で講義が終わりだし。

 「お昼は、コンビニで買うか」私は、大学近くのコンビニではなく。

 自宅より。少し遠くのコンビニによる事にした。それは気分って奴だ。

 私が、コンビニに入ると、そこには河野さんがいた。「ど、どうも」

 と河野さんの声を聞いた瞬間。私は「河野さんですよね。私が

 バイトしている。カフェの向かいの会社で働いている」思わず

 口を開く。私に、河野さんは「えっ⁉何で、俺の事を知っているの?」

 と返してきた。私は、人の顔を覚えるのが正直苦手だった。歴史上の人物の名前は

 覚えるけど。顔を覚えるのに苦労した。でも、なぜかこの人だけは覚えている。

 私が注いだ。コーヒーを美味しく飲む。この人の事だけは、すぐに覚えた。

 私は、少し河野さんに意地悪がしたくて。自分の人差し指を口許に近づけ。

 「内緒です」と言った。私は、自分の学歴が嫌いだけど。今日は、そのおかげで

 河野さんと言う。常連さんに会えたから。今日だけは、好きになった。

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