第26話 【アニメ】蜘蛛ですが、何か?

原作:馬場翁『蜘蛛ですが、何か?』

監督:板垣伸(てーきゅう、など)

制作:ルミパンセ

発表:2021年

配信:Netflix

話数:24話×30分



・あらすじ……


 ある日、日本の教室で突如として破壊的閃光が炸裂した。教室にいた教師を含む男女25名は全員が死亡した……


 ……したのだが、元JK『私』は異世界のダンジョンの中で一匹の蜘蛛(スモールレッサータラテクト)に転生した。生まれた瞬間から兄弟たちとの共食い、生みの親からの捕食という地獄に遭遇する。どうにか難を逃れた私だがすぐさま魔物だらけのダンジョンの中でサバイバルを強いられる。私は一匹の蜘蛛に過ぎず初期能力は最弱。絶対に生き残ってやる! 果たして『私』は生き残ることができるのか。貧弱な能力を人間の頭脳で運用する私の成り上がり転生譚開幕!



・記


 僕は原作小説のファンである。アニメにあんまり興味がないので、アニメ化していることすら知らなかったのだがNetflixにアップロードされていたので視聴した。


 主人公である『私』は蜘蛛なので、ビジュアルは節足動物である。アニメのキャラクターデザインももちろん蜘蛛であり、かわいくはない。お目目と声だけかわいい。基本的に蜘蛛の『心の声』を中心にお話が進むのだが、私の声を担当する悠木碧ゆうきあおいさんがシリアスな状況をハイテンションかつコミカルに演じており、見事に『私』を表現できていた。


 アニメーションの作画は3Dモデリング感があって、悪くはないのだが良いとも言えない。アニメ鬼滅の刃とか呪術廻戦とかと比べるとどうしても劣る。まあ個人的には好きな小説のキャラクターたちが動いてしゃべっているだけで感動したので、さして問題とは思わなかった。エルフの岡先生がかわいかった。原作でも名シーンだった地龍アルバとの戦いはアニメでも燃えたが、どうしても3Dモデルのゴツゴツ感があって神作画や~とまではいかない。魔法発動の際に発生する魔方陣エフェクトは恰好いい! あとスキルやステータスをゲームっぽいレタリングで表現するのもよかった。


 問題があるとすれば、小説特有の時系列トリックをアニメで再現した結果、かなりわかりにくくなってしまったように思えること。原作では『私』を主役とする過去パートと『シュン』を主役とする未来パートを行き来しつつ物語がすすむのだが、原作者はここにひとつまみの工夫を加えて、あたかも過去パートと未来パートが同時進行で起こっているように書いていた。また魔王アリエルが『私』なのではないか……などなど各種ミスリードを織り交ぜて書いていた。それをアニメでも同じようにやった結果、時系列が複雑な感じになってしまった。最終回の途中で過去と未来が完全につながるのかと思いきや、結局過去に戻ったり未来に行ったりと、せわしない感じになってしまった。そこは残念である。


 また物語の途中でアニメの最終回を迎えてしまったため、なんか中途半端な感じになってしまっている。人気が出れば第2期があったのかもしれないが、公開から3年が経過しても第2期が作られるという話は出ていないようだ。


 主人公が蜘蛛のため、グッズ販売などが振るわなかったのだろうか。物語の構成が複雑なため、視聴者がついてこれなかったのだろうか。いずれにせよ、原作ファンとしてはアニメの人気が出ず第2期が作られないことは悲しい。海外では人気があるようなので、ワンチャンあるのかな……楽しみにしたい。




 



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