第14話 【新書】なぜ働いていると本が読めなくなるのか

・著者:三宅香帆

・刊行:2024年4月


・概要:(帯をそのまま引用)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。


「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の遍歴を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。




・結論:(僕が書くので雑になります)


 読書は明治のころはエリートの教養を高めるものだった(学問のすすめとか)。それが大正のころから立身出世の志とともに大衆へと浸透していった。


 戦後になると、テレビの発展や広告の普及とともに読書は娯楽としての地位を確立していった。


 時代が進んで情報化社会になると、働き方に変化が生じる。仕事は自己実現の手段となった。“社会から強制されたもの”から“自分で選んだもの”へと形を変えた。結果どうなったかというと、仕事の結果や自己実現の努力は自己責任という考え方が定着した。


 情報化社会、自己責任の社会では、自己実現のための全力投球を求められる。自分で選んだ道なんだから努力するのは当然でしょという空気が醸成される。結果、自己実現に関係のない情報をすべて“ノイズ”と“見做す”ようになった。インターネットを使って、知りたい情報を無駄なく素早く取得することを美徳と見做すようになった。結果、読書をはじめとする趣味のノイズ化が進み、楽しめなくなってしまったのだと本書は言っている。


 読書を楽しめる社会にしていきましょう。仕事に全力投球することを美徳するのではなく、多様な働き方を容認し、仕事だけでなく副業や趣味を楽しめるようにしましょう。いわば半身で仕事に取り組むことをみんなで認めていきましょうと締めくくっている。


・感想


 仕事頑張ってるやつはすごい、おれも仕事頑張らなきゃという思いが、趣味を陳腐化するという主張。すげえわかる……僕はわりと意識が高くて仕事ができんやつと努力できんやつはカスだと思っていた時期があったんだけど、その時はぜんぜん本も読めず、趣味も楽しめませんでした。


 結局仕事も燃え尽き、鬱っぽくなって休日はスマホ片手にボーッとしてたんですをけど、そんなときふと思い立って久しぶりに小説を書いてみたらこれが面白く、夢中で書くうち何となく完結まで書けて、そのあと結局燃え尽きました。執筆は自分の好きなことやからついついのめり込んで“全力投球”してしまいますね。


 なにごともほどほどにやね。アオアシというサッカー漫画でヒロインの女の子が、プロになるため必死で頑張る主人公に「夢のために努力する君は素晴らしい。けど心のどこかでたかがサッカーなんだからと思って欲しい」と言ってたけど、まあそう。仕事や執筆は一生懸命やるけど、たかが仕事、たかが趣味とどこかで気を抜くことも重要なのかなと思いました。


 最近はメンタルがだいぶ回復したこともあって、読書もぼちぼち再開できてます。1時間ほどで読了。


 新書はやっぱ一気読みするに限るね……途中で読むのやめたらそのまま二度と読まんこと多いので……


 綿密な取材と面白い主張をする作者さんなので他の著作にも興味を持ちました。







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