第5話 【小説】甲賀忍法帖

著者:山田風太郎

ジャンル:時代


短いあらすじ:


 忍者による10対10の殺し合い。


あらすじ:

 江戸時代初期(戦国時代末期??)。徳川家康は次の世継ぎを決めかねていた。すなわち長男:国千代か才児:竹千代か。この問題には天海も頭を悩ませ、ついに国千代、竹千代の代理人同士の御前試合を提案するに至る。


 とはいえかわいい部下を殺し合わせる訳にもいかず、ならばと代理人に選ばれたのが『忍者』であった。甲賀10名と伊賀10名。不戦の縛りを解かれたの忍者たちが、相手を全滅させるまで殺し合う。最後に立つのはどちらの忍びか!


 人ならざる超常の技の数々、空前絶後の面白さ! 甲賀忍法帖開幕!



ポイント:

①何年経っても読みやすい小説を書くヒント


 刊行年は1959年! 

 現在2024年……てことは65年も前の作品なんだ! ウソォ!

 

 と驚いてしまうほど、現代に通じる面白さを持った作品。


 今読んでも読みやすいのがすごい。


 知らない単語がほぼない……難解な言葉を用いず平易な文章で書いてあるんですね。読みやすさの秘訣かも知れませんね……小説を書くときは65年後も使われている(であろう)言葉で書くこと!

 チョベリバ! あざまる! バッカルコーン!とかはダメってことだぞ!


②異能デスゲームを書くときのヒント

・知らないもの同士を戦わせてはドラマは生まれない。殺し合いの状況に放り込まれたものたちの関係性がどう変化していくのかを描くことが大事。


 知らないもの同士を戦わせても何の葛藤も生まれない。甲賀忍法帖では愛し合う者同士が敵味方に分かれ争うことになったことで、大きな葛藤を生み、それが物語の軸となっている。また殺し合いでカップルが引き裂かれたことによって、諦めていた横恋慕の情が復活して味方のうちでもドロドロ愛憎劇が繰り広げられる。

 殺し合いを通してキャラクター同士の関係性がどう変化していくのかを描いているから面白い。

 僕は少年マンガ脳なのでこれまで忍者の技の優劣と、異能者同士の勝負の結末に注意が行きがちだったのですが、この小説、異能バトルでけでなく関係性の変化でも物語を牽引していたんですね。

 クラスメイト同士で殺し合う『バトルロワイヤル』なんかもそうですね。見知ったクラスメイトが実はサイコキラーだったり色仕掛けで殺しに来る悪女だったり、拳法の達人だったり爆弾作れたり車運転できたりしてビックリする驚き! クラスメイトの隠れた能力を知って、惚れたり過剰に怖がったりする関係性の変化! 


 そういったものがあった方がデスゲームは面白いのかもしれません。



◆感想


 僕はこの小説が好きです。今まで4回読んだので、今回で5回目の再読です。


 僕は(積本がありすぎて)再読をあまりしません。そんな僕が定期的に読み返したいな~と思っている本のひとつがこの『甲賀忍法帖』です!


 読み返せてませんけどもね。


 この小説を原作とした漫画『バジリスク』も傑作です。スマッシュヒットしてアニメになりパチンコにもなりました。ちなみに僕はバジリスクからこの小説に行き着きました。


 仲間由紀恵とオダギリジョー主演の『SHINOBI』という映画があってそれの原作でもあるんですけどこちらはちょっとマイナーかもしれません……薬で捕まる前の沢尻エリカとかも出てて結構面白かった思い出があるんですけど……


 まあメディアミックスするくらい人気の作品ということです。


 内容的に教科書に載ることはないでしょうけど個人的には古典として読み継がれていって欲しいなあと思ってます……だって面白いから!


 異能デスゲームもののジャンルを築き上げた傑作です。エンタメとしての面白さが詰まった傑作です。


 自分でも異能デスゲームを書こうと試みて形にはなかったのですが……今回の気づきを踏まえていつかチャレンジしてみたいです。


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