ダンジョン

 外にもどってきたときには、空が白んで夜が明けようとしていた。

 アルベルトと一通り話をした後、俺はそのまま家に泊めてもらうことになった。

 ゴツゴツした地面で眠るよりフカフカのベットのほうがありがたい。

 俺はそのお礼に朝食をつくっておいた。トーストにベーコンと目玉焼きをのせただけの簡単なものだったが、アルベルトは本当に幸せそうな顔をして食べていた。たしかに自分でつくって食べるのと、誰かに作ってもらうご飯は違う。じいちゃんが亡くなって自炊をするようになって気がついたことだった。

「そういえば、アルベルトはどうしてあんなところにずっといるんだろう」

 思えばじいちゃんの若かったころの話ばかりで、 アルベルトのことやダンジョンのことももっと聞いておけばよかったと思う。

「やっぱだめだよなぁ」

 もしかしたらと思って入口のあった岩陰をのぞいてみたが、普通の影があるだけだった。 まだまだ聞きたいことは沢山あったが仕方がない。俺は切り替えて、アルベルトからもらった地図を眺めてダンジョンをさがすことにした。

 

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