「そうだ、七つの街って何のことか分かる?そこに行くなら、フローライトだとかオパールが必要って言われたんだけど」

「七つの街、というのはおそらくダンジョンことじゃろうな。外のダンジョンのことは関係者以外には話しちゃいかんことになっとるからな。私たちも隠語として『街』といっておった」

それから、と言ってアルベルトは、席を立ちあがって棚の上から紙とペンを持ってきた。

「フローライトやオパールというのは冒険者の強さの指標みたいなもんじゃな」

紙に何本か線を引いて順番に数字を書いていった。

「こんなふうに強さに応じて、宝石の名前が振り分けらておる。私の頃はタルク(1)からダイヤモンド(10)までランクづけされておった」

「へぇ~。ちなみに、アルベルトさんたちがダンジョンに行ったときはどのランクだったの?」

「だいたいこのへんじゃったかな」

アルベルトが指さしたところは、アレキサンドライト(8)だった。

「ダンジョンに行くならこんなに強くないといけないんだね」

「まあ、ピンキリじゃな。なにせ外のダンジョンは特別じゃったからな。そういえば、この近くにもあったはずじゃ。たしか難易度はパール(2)。そこなら死ぬことはないだろうから、ここから出たら腕試しに行ってみるといい」

「うん、そうしてみる!」

はじめてのダンジョン。七つの街にいくなら、このくらい軽く超えなきゃ。

俺はダンジョンに向かう前から心が躍った。

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